私は3人兄弟の次男。兄弟のなかで唯一、家業を継いで、実家で暮らしています。2年前から父に介護が必要となりました。介護保険のサービスを利用しながら、母が中心となって介護を担っているんですが、母も高齢なので、いつまでも無理がきくわけではありません。
一緒に家業や子育てを頑張ってくれている妻に、介護のことで負担をかけるわけにはいかないので、通院の付き添いが必要で、私がどうしても仕事で身動きの取れないときに動いてもらうなど、一部のサポートのみを頼むようにしています。今後は、介護保険のサービス使用頻度を上げたり、施設の利用を考えたりする必要があるはず。
ここで一つ問題なんですが、自営業をしていた両親の現在の収入は国民年金のみ。現役時代に蓄えた預金はあるものの、今後の老後資金が減るのを恐れているのか、両親ともに年金額以上を使うことを激しく拒否しています。これ以上介護にかかる費用が増えていくと、同居している私が支払うしかありません。
親名義の資産として、ほかには実家や店舗、倉庫などの不動産、家業に使う車がありますが、それらを手放すと家業そのものが立ちゆかなくなるため、手をつけるわけにはいきません。
以前、知り合いの不動産屋に相談したとき、「大変だろうけど、介護費用は立て替えておき、親が亡くなったときに相続の手続きを行うのが良い」と言われました。これって、本当なんでしょうか?
少しでも親が元気なときに、弁護士を通して遺言書などを作成してもらったほうが良いのでしょうか?
「大変だろうけど、介護費用は立て替えておき、親が亡くなったときに相続の手続きを行うのが良い」というのは、「親の預貯金(普通預金など)で介護費用が潤沢にある」「代理人カードや家族信託、任意後見制度を利用して、親の預貯金が自由に出し入れできる」「兄弟間で介護の役割分担と、それに伴う相続時の遺産分割について合意ができている」といった条件がすべてそろったときぐらいじゃないと通用しない話でしょうね。失礼ながら、あまりに楽観的な意見だと思います。
親御さんがそれなりの預貯金、不動産をお持ちなのであれば、親御さんの判断能力があるうちに家族信託や任意後見の手続きをしておくことを強くオススメします。
また遺言書も、できるだけ早く作っておきたいところです。作成にあたっては、弁護士や司法書士に依頼して、公正証書遺言にしておくことを強くオススメします。
ほかのご兄弟が積極的に介護に協力するつもりがない場合は、「介護をしない代わりに、相続時の権利も主張しない」といった内容を盛り込んだ、扶養契約公正証書を作っておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。なる早で、今後の介護のスタンスについて、話をなさってください。
参考になりそうなサイトをお送りしますので、ぜひ、お目通しくださいね。
私が介護費用を立て替えても、相続の際に考慮されるとは限らないんですね。紹介いただいたサイトを読んで、初めて知りました。
兄、弟ともにサラリーマンですが、裕福とは言い切れないですし、子どもも3人ずついるので、相続時に私に譲ってくれるか不安になってきました。妻や両親とも相談のうえ、早めに動いてみようと思います。
本当にありがとうございました。
はい、お金についての手続きは早目にしておくのが一番だと思います。
ご兄弟が結婚して、なおかつお子さんがおられるようなら、本来なら相続に関係は無い立場であるはずのご兄弟の奥さんの意向が話し合いを揉めさせる要因になるケースが多いです。
ご兄弟の奥さんの立場としては「相続は兄弟みんなに等しくある権利」「介護費用を払ったからといって多めに相続できるような法律は存在しない」「子どもの学費などを考えると、お金はいくらあっても困らないし、子どもに奨学金を背負わせるのはイヤだ」などというものがあります。
介護をした夫の兄弟(今回の相談者さんの立場)に対して悪意があるわけじゃなくても、自分の子どもなどのために法律で許されている権利なら、全力で主張するといった感じですね。こうなると、兄弟が「介護を頑張ってくれた身内に権利を譲りたい」と思っていても、話し合いがこじれたりしがちです。兄弟が「権利を譲る」という意志を貫いたら、自分の奥さんを怒らせることになってしまうわけですから。
相談者さんのご兄弟の家庭事情を決めつけるわけではありませんが、将来的なリスクを避けるうえでも、なるべく早くご兄弟と話し合いを行い、法的な拘束力のある書類を作成しておくことをオススメします。
兄も弟も、奥さんの尻に敷かれているので、横井さんが言うようなリスクは高そうですね。
もたもたせずに、早く動くようにします。
■横井からの補足
本記事は今年になって寄せられた相談にお答えしたものなんですが、約2年前に書いた過去記事に酷似した内容のものがありました。関連コンテンツとして紹介しておきます。
以前の相談者さんについては兄弟姉妹の有無や仕事内容など細かな状況がわからなかったんですが、我ながら驚くほど今回と近い回答をしていますね。



