ヤングケアラーになった家族の物語
48歳で認知症になった母
吉田 美紀子 (著) 美齊津 康弘 (原著)
内容
小学5年生から母の介護を始めたヤングケアラーだったら……。訪問介護、精神科病院、特別養護老人ホーム、障がい者移動支援などの職を経験し、今もヘルパーとして活躍するマンガ家と、実際にヤングケアラーの経験を持つ原作者がタッグを組んだ一冊。
書評
原作者は、防衛大学を卒業して実業団のアメリカンフットボールの世界で日本一を経験している。幼少期にヤングケアラーとして過ごした経験をきっかけに、選手引退後は介護の道に進んだ。現在はケアマネジャーとして働きながら、自ら開発したWebシステム「えんじょるの」を使って、買い物弱者問題の解決に取り組んでいるという。
本書では、子どもながらに母が変わっていく姿を見ながら、心の葛藤や周囲の視線、自身の心や身体の成長などがマンガで描かれている。
子どもは自分の生活環境を選べない。だから「自分は良い環境で育ってきた」と考えられるのは、単に「運がよかった」だけなのだと感じる。今、世の中には家族の世話を担いながら将来への夢を持てず、不安と孤独に耐えているヤングケアラーが大勢いるということを認識しなければならない。彼らの多くは、誰にも相談できずにひとりで暗闇の中にうずくまり、やがて静かに自分の人生を諦めて将来の可能性を閉ざしていってしまうのだ。それは「運命」というひと言で片付けるにはあまりにも残酷ではないだろうか。もしかしたらその姿は「自分」だったかもしれないのだ。
本書を読んで、まずはヤングケアラーの存在を自分ごととして捉えてほしいというのが筆者の願いだ。そしてヤングケアラーの支援の輪が広がり、ヤングケアラーの気持ちに少しでも寄り添うことに役立つことを願っている。



