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介護の本書評「review-kaigo」

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第440回 介護者D

介護のために故郷に戻り、生き続けるために懸命にもがく若者

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

介護者D
河﨑 秋子 (著)

内容

東京で漫然と働く独身の若い女性が、父の介護を機に故郷の北海道に戻ることを決意する。母は他界し、優秀だった妹は結婚してアメリカに。人生初となる父子生活、耐えがたい「正しさ」を論じてくる父だが、日に日にその体は不自由になっていく。その中で、若い女性は東京時代に出会った路上アイドルの「推し」を追い求めていく。

書評

30歳の琴美は東京で派遣社員として働いている。そんな日々にひと筋の光が。それは偶然、路上ライブで出会ったアイドルの「ゆな」だった。ライブへ通い、仲間もでき、彼女への没頭が、ゆるく過ごしていた琴美を変えていく。

しかし父親が倒れ、介護が必要になったため、札幌へ戻ることを決意する。交通事故で5年前に母は他界。妹は結婚し、アメリカへ。初めての二人きりの父子生活。元塾講師の父はいつだって正しく、その変わらない「正しさ」は時折耐えがたいほどに憎らしい一方で、父の体は日に日に不自由になっていく…。

「私はもう大人で、30歳も超えて、それでもまだこの人の子だ。ゆるゆる静かに衰えていくだけのこの人の娘なのだ」という言葉が印象的。そんな悲しい姿を目の当たりにした琴美は、ますます「ゆな」を追い求めていくようになる。札幌で介護に明け暮れ、弱りゆく父の姿を見ながら、胸に期するものを感じた琴美は、「ゆな」のライブを見るために東京行きを画策する。

父の許しを得て東京へ向かい、久々のライブ会場で「ゆな」との再開を果たした琴美。「ゆな」は琴美にどんな言葉を投げかけるのだろうか。さらには認識されているかどうかすら危うい中、琴美の思いは「ゆな」に届くのだろうか…。

閉鎖的な環境、明るい展望も見えない中、生き続けるためのよすがを求めて懸命にもがく姿が描ききられている。

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