認知症の親をよくする介護とは
親の「老い」を受け入れる
長尾 和宏 (著), 丸尾 多重子 (著)
内容
高齢の患者の訴えの9割が病気ではなく肉体の自然な経年劣化、いわゆる「老化」だと語る筆者。だが、日本人の多くが「老い」を忘れているという。本書を読むと、筆者の対談やこれまで見た患者エピソードを通じて、改めて「老い」について考えさせられる一冊となっている。
書評
核家族化が進み、家族の介護を一人で担う家庭が多くなり、介護の社会科という触れ込みで始まった「介護保険」ができて15年。介護の現場を間近で見てきた筆者が「介護保険」がスタートしてから大きく変わったことが2つあるという。
ひとつは介護家族が無意識のうちに依存体質になったこと。介護保険は大いに活用すべきだが、すべてを人まかせにしてはいないだろうか。もうひとつは町から高齢者が消えたこと。介護保険スタートと同時に、施設の送迎車が街中を走り回り、高齢者が介護施設に送り込まれているから。町の光景は切なさすら感じられ「介護保険」で誰が幸せになったのか…と考えるという。
若い頃は誰もが自分の人生に「老い」があるとは考えていない。親も歳を取らないと思っているものだ。親の「老い」を考えたことがない人ほど、突然親が倒れたり、認知症の症状が出たりしたら、すぐに「介護保険」を使って「安心」を手に入れようとする。
その「安心」は親のため?はたまた自分のため?少し歩みを止めて考えてみれば、これまで長い人生を歩んできた親の周囲には、まだまだ助けてくれる人はいるかもしれない。それを探すかどうかは子ども次第なのだ。つまりは親が歩んできた長い人生の最期を光り輝くひとときにできるかどうかは、子どもであるあなた次第だと、筆者は考えている。



