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介護の本書評「review-kaigo」

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第368回 親の介護の不安や疑問が解消する本

ストーリーを読むだけでやるべきことがわかる!

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

親の介護の不安や疑問が解消する本
田中 克典 (著)

内容

本書は主人公が脳梗塞で倒れて、介護が必要になったところから始まる。初めて介護に直面した家族が聞き慣れない言葉や次々と待ち構える問題に対して一つひとつ解決していく場面を時系列で解説している。介護保険サービスは利用手続きが複雑でわかりにくい。順を追って理解し、使えるようになることが大切だ。本書では現役ケアマネージャーの筆者が体験したことを交えながら、介護保険サービスについてわかりやすく解説されている。

書評

2025年には、団塊の世代といわれる800万人が75歳を迎え、日本全体で75歳以上の人口が2000万人を超えるといわれている。75歳になると、認知症や内臓疾患、転倒による骨折など、介護を必要とする割合が格段に増える年代だ。そうなると需要と供給のバランスが崩れてしまい、介護保険サービスは簡単に瓦解するだろう。そうなると「介護難民」が誕生することになる。

本書では、脳梗塞で倒れながらも、リハビリに励んで自立をめざす主人公の漁平さんの姿を通して、要介護認定の訪問調査の受け方や介護保険サービスの使い方、介護スタッフやケアマネージャーとの接し方など、初めて介護に直面した家族の奮闘ぶりをストーリー仕立てで紹介されている。

漁平さんはアルツハイマー型と脳血管性の「混合型認知症」と診断された。「財布を盗まれた」と長女を疑ったり、散歩中に道に迷うなど、何かと騒動を起こしがちだ。介護をする子どもにとってh、亜認知症の親にどう接するかは重要な課題だ。自宅以外に場所を見つけることが大切だが、社会も徐々に認知症の人を受け入れる体制ができつつあるというのも、本書を読んで感じることができた。

本書では、親の介護で心身ともに疲れ切る前に身近な人にSOSを出し、介護の苦労を打ち明けるべきと記されている。そして介護仲間を作り、お互いに愚痴をこぼしたり、励まし合いながら、親の介護を乗り切って欲しいとも。本書を読んで、親の介護に関する不安や疑問の多くが解消されるのではないだろうか。

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