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介護の本書評「review-kaigo」

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第362回 遠距離介護で自滅しない選択

別居のままで介護と生活を両立させる方法が本書に!

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

遠距離介護で自滅しない選択
太田 差惠子(著)

内容

「遠距離は親不孝」「いずれ同居しなくては」そう思い込んでいないだろうか。ほんの少し考え方を変えるだけで、自分の家庭や仕事を犠牲にすることなく、さらには親の幸せをも損なうことなく別居のまま、介護を行うことは可能だという。本書では、さまざまな立場の8人が、筆者のナビゲートによりストーリーを進めていく。筆者の解説が、より多くの遠距離介護で悩む人を幸せな道に導いてくれるだろう。

書評

親元を離れて生活している子どもは、世の中にたくさん存在する。元気だと想っていた親が病気になったり、介護が必要になったりするようになるのは、いつも突然のことだ。子どもといっても50歳代、最近は100歳前後の親を介護するために、70歳代の子どもが遠距離介護をしているケースも少なからず存在するという。

筆者は1990年代から「親の介護」についての取材を始め、遠距離介護を長年推進してきた。介護のシチュエーションやストーリーは100人いれば100通りの介護シチュエーションが存在する。本書で紹介されている方法が決して正解ではない。

しかし、全部は役に立たなくても部分的には読み手の遠距離介護に活かせるのではないか、と筆者は語る。ちょっとした工夫、考え方を変えることで、煮詰まっていたことがなんとかなったり、仕方ないと思えたりするのだという。そう、「自滅」を防ぐことができるのだ。

本書を読めば、現時点だけじゃなく、5年後や10年後、さらには看取りまでの中長期的な体制づくりや子どもの役割についても参考にすることができるかもしれない。
筆者が願うのは「遠距離介護」で介護する側が自滅するのを防ぐこと。本書が親の介護で悩む人々の一助となることを願っている。

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