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介護の本書評「review-kaigo」

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第363回 認知症の人のイライラが消える接し方

心を穏やかにする接し方がわかる

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症の人のイライラが消える接し方
植 賀寿夫(著)

内容

認知症の人と接しているなかで、一番のストレスになるのが「すぐに怒り出す」ことだという。あるいは「こちらの話を聞いてくれない」や「意味不明なことを言い出す」といったことも認知症の人と接するなかで、悩みを深める大きな要因だという。本書では原因は「すれ違い」であるとし、認知症の人を相手にそれを克服する関係の作り方や接し方を紹介している。

書評

認知症の症状には、記憶障害や理解力、判断力が低下する「中核症状」と、徘徊や脳層、暴言や暴力と行った中核症状によって引き起こされる「周辺症状」に分けられる。

認知症のお年寄りが住み慣れた家や地域で暮らせなくなる主な原因は周辺症状にある。周辺症状が出ると、周囲の人々の自分に対する接し方が変わり、認知症の人はますます混乱が深まって居心地が悪くなる。すると、介護をする側も困り、悩み、さらに混迷を深めていくことになる。

そんな事例を数多く見てきた筆者は、認知症ケアの本質は「人間関係づくり」だと語る。認知症の人と自分や介護者との人間関係を見直し、整える。そうすれば穏やかに過ごせる時間が必ず増えるという。では、お年寄りや認知症の人と人間関係を築き、整えるにはどうすれば良いのか。

認知症であっても「人」であることには変わりはない。だから「普通」につきあうのが基本になるという。そして、周辺症状が出た時だけ、「特別な工夫」をして対応する。その「特別な工夫」こそが「認知症ケア」なのだ。

本書では事例とともに、いろいろな工夫が紹介されている。すべてが正しいか、役に立つかはわからない、と筆者。それでも知っておくことは大切なことだ。ケアのストックを増やすつもりで読んでみて欲しい。

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