介護のコラムを読む

介護の本書評「review-kaigo」

戻る

第352回 高齢者に「キレない」技術

「キレない」コントロールが知性を表す

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

高齢者に「キレない」技術
川上 淳子 (著)

内容

「運転免許返納を断固拒否」、「夜中に何度もトイレコール」、「院内ルールを完全無視」など、介護が必要な高齢者は、なにかと健常者をいらだたせるような行動を取る。改定や看護や介護においては、そうした行動にいちいちキレない「アンガーマネジメント」が大切になってくる。本書では怒りに応戦するのではなく、上手に切り返すアンガーマネジメントの術を具体的に紹介している。

書評

現在、日本社会は高齢化の一途を辿っている。65歳以上の高齢者が占める割合は1950年で4.9%だったのが、2017年伊は27.7%まで上昇している。2000年以降は65歳定年の企業が増え、政府も年金受給を70歳からに引き延ばすことができるように制度を改定した。「還暦は社会からの卒業」というのはもはや過去の話である。

その一方で高齢者の犯罪件数が増え、高齢化と犯罪の関係が憂慮されている。人生100年時代と言われ、誰もが高齢者と関わりを持つ時代が来ている。高齢者と上手につきあう上で必要なのが「アンガーマネジメント」だ。なぜなら高齢者が抱える課題への対処には、怒りに関する理論と技術が必要だからだ。怒りの感情コントロールができるかどうかで、人生の方向も質も大きく変化するのだ。

本書では、「家庭編」「看護・介護編」に分け、それぞれの現場で活用できるアンガーマネジメントの理論と技術が記されている。アンガーマネジメントを学べば、怒りに隠れた気持ちに気づき、怒りに応戦するのではなく、上手に切り返していく方法を用いることができるようになる。

筆者は10歳の時に認知症の祖父が暴れる姿を見て衝撃を受けたという。だが、アンガーマネジメントを学んだことで、当時の祖父の気持ちの一端を知ることができたという。怒りの仕組みを知れば、怒りを上手に処理して対応することができるという点に驚いた。

親ケア.comオンラインサービス「繋がる」
おやろぐ