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介護の本書評「review-kaigo」

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第353回 現役世代のための介護手帖

現役世代の介護に必要な7つの心得とは?

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

現役世代のための介護手帖
おち とよこ(著)

内容

いつの時代も、どんな人にも「親の介護」は突然訪れる。その時に誰もが悩むのが、自分の仕事や暮らし、日常生活と介護の両立だ。本書はいざという時に役立つ対処法、ノウハウ、介護サービスを賢く使うためのコツなどが記されている。親子の共倒れを防ぎ、親も自分も大切にするための7つの知恵が収められている。

書評

筆者は、読者よりも一足早く「現役世代介護」を体験したジャーナリスト。その経験や知っていて良かったと感じた情報、役立った情報などを7つのテーマにまとめている。現役世代の男性の多くが、「親の介護は妻に任せ、男の自分は仕事最優先」と考えるかもしれないが、家族形態の変容や長寿、少子化がもたらす超高齢会社会の足音は、そんな幻想を蹴散らし、男女を問わず現役世代が介護のキーパーソンになる時代になっているという。

筆者は介護中、常に誰かに詫びているような気持ちになるほど、いる場所でいない場所のことを気に掛けるように。それだけに看取りの頃には、無我夢中でありながらも常に後悔の気持ちしか湧いてこない状態だったという。

だが、筆者は介護や看取りを経験する中で、そこでしか感じられない不思議な力を感じたというのだ。自分の親の最期に立ち会う経験は、多い人でもわずか2回。そこには命の手渡しのような感覚が生まれ、人生が明るくなったように感じたそうだ。今の日本は社会的にも豊かで平和、貴重な歴史的瞬間を過ごしていると考える筆者は、子どもの使命としてぜひ親の看取りをして体験してほしいという。

だが、今の日本の介護システムの中では、安心して看取りができないと筆者は警鐘を鳴らす。安心して介護と仕事を両立できない日本という国は、明るい未来を閉ざすことにつながると語っている。

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