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介護の本書評「review-kaigo」

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第343回 男が介護する

男性介護者が集い支え合うコミュニティとは?

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

男が介護する
津止 正敏(著)

内容

かつて女性中心だった家族の介護も、今は男性が1/3を占めるという。それだけに問題点もクローズアップされている。介護者からの暴力、心中など、事件化することも少なくない。本書では、男性介護の実態や支え合う各地のコミュニティの活動をエピソードを交えて紹介している。仕事と介護が両立できる社会に向けた提言も必読。

書評

2000年に発足した「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」を皮切りに、社会の介護者は男性介護者がその一翼を担っている。コミュニティーも全国に150箇所を超え、今なお新たなコミュニティが立ちあがっている。その成果、『介護離職ゼロ』は、国の方針となった。

本書では、男性介護者の介護と暮らしの実態を明らかにしている。さらに全国のコミュニティの実際を取り上げている。「介護のある暮らし」を標準化するような新しい『生き方モデル』を提示し、時代の希望の光としようと考え、行動している。

近年のトレンドからみれば、介護の役割を担う男性が増えることは、喜ばしいことに違いはない。だが、手放しで歓迎されるような事態にはなっていないのも事実だ。介護の問題は減るどころか増え続け、要介護者の多くが男性という事実もある。男性介護者が増えることは、問題をさらに深刻化する状況を生んでいるとも言えるのだ。

本書がターゲットにするのは、男性介護者100万人に加え、介護者予備軍になる男性たち。100万人の男性たちは時代のフロントランナーとして時代を彩ってきたと言える。さまざまな立場からさまざまな方針で家族を看取ってきた人立ちのエピソードや考えにエールを送るための一冊となっている。

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