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介護の本書評「review-kaigo」

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第342回 やさしくなれる認知症の在宅介護

認知症サポート医による認知症介護のヒント

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

やさしくなれる認知症の在宅介護
板東 邦秋(著)

内容

「親の介護をするなら、まず自分のことを大事にしなさい」と語る筆者は、日々、100人近くの患者と接してきた認知症サポート医。今日から救われる認知症介護のヒントが記されている。介護疲れの人の気持ちをグッと楽にする認知症介護の原則「HSS・AKB」についても書かれている。

書評

介護は、そのほとんどの行為が、誰にとっても人生初の体験となることがほとんどだ。介護を始めるとすぐに、「この生活はいつまで続くのか」と先が見えないトンネルを走るような絶望感に襲われるという。筆者が伝えたいのは、家族を介護することは、思っている以上に壮絶であるということ。それは認知症だけではなく、どんな病気であっても同じだという。

だが、家族間の介護は深い愛情がつないでいると言っても過言ではない。しかし、だからこそ辛いこともある。介護ヘルパーや介護職員は笑顔で接しているのに、なぜ家族である自分はすぐにカッとなってしまうのか、怒鳴ってしまうのか、思わず手が出てしまうのか……と自分を責める人もいる。筆者は「それが当たり前」という。ヘルパーたちは介護のプロだから笑顔でいられるのだ。素人は腹が立ったりイライラするのが当然だという。大切なことは「どうすれば、もう少しだけ優しくなれるのか」を考えること。

そして、さらに大切なのが、「どうすれば、もう少しだけ優しくなれるのか」という気持ちを介護する相手だけじゃなく自分自身にも投げかけて欲しいということ。いつか介護する相手は亡くなり、夜は明ける。だが、その後も介護者自身の人生初続くのだから。

晴れやかな気持ちでゴールを迎えるためにも、自分自身を守ることを忘れないでほしい、筆者はそう語りかける。本書では、患者に優しく、それ以上に介護する自分に優しくなる介護のヒントがまとめられている。

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