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介護の本書評「review-kaigo」

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第336回 身近な人の介護で心がいきづまったら読む本

介護うつにならないためのアドバイスがたくさん

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

身近な人の介護で心がいきづまったら読む本
高室 成幸 (監修)、鈩 裕和 (監修)

内容

20年以上地域医療に携わっていた医師と介護コンサルタントの共著。医師の筆者は、数千人をい診療する中で看取ったのは700人を超える。その経験から感じたのは、「在宅医療を維持するために最も必要なことは介護者の不安と負担感を軽減すること」だと感じた。本書は、それを実現するための「心の処方箋」が記されている。

書評

未来の介護で必須と言える在宅医療を維持する上で最も大切なことは、「介護者の負担感と不安感を軽減すること」だという筆者。筆者自身、往診時は、家族と30~60分の時間をコミュニケーションに費やすそうだ。それもほぼ聞き手として。

その中で、介護者の不安と負担感の要因を見極め、解消法を伝授するようにしているそうだ。適切な解消法が伝授できない場合でも、筆者自身に不安をぶつけてもらうことでストレス解消の一助となるようにしているそうだ。そうすることで介護者は「介護は自分ひとりでやらなくてもいい。皆が協力してくれていると思えるようになって肩の荷が下りた」と語るそうだ。

介護の世界を見続けてきたコンサルタントも、介護で行き詰まる人が増えていると感じているそうだ。介護に日々苦労している人は着実に増えているという。介護する家族は毎日ストレスを抱えている。頑張りたいのに頑張れない。その気持ちが虐待やネグレクトに繋がっていく。介護家族への心理面の支援は、介護保険制度やケアのプロだけではフォローしきれないという。自分の心の状態や考え方の癖を知り、自分自身で予防していくことが大切だという。

本書は介護で心が疲れ切ってしまった人への「心の処方箋」でありたいと願って記された。広大で迷いがちな介護の森の中で、ひとりぼっちで迷わないための心のマップとして活用することを筆者自身、願っている。

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