介護のコラムを読む

介護の本書評「review-kaigo」

戻る

第334回 介護危機

自宅と老人ホーム、老後はどっちで過ごすのが正しい?

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

介護危機
宮本 剛宏 (著)

内容

寿命100年時代を迎えようとする日本。自宅と老人ホーム、どちらで老後を過ごすのが正しいのだろうか。その疑問に個人の負担額、家族の幸福度、行政としての合理性、などの観点から、明確なデータをもとにして、どちらが正しいのかを論理的根拠をもとに判断をめざした一冊。

書評

日本は高齢人口比率が25%を超える超高齢化社会を迎え、介護離職や老老介護など、高齢者介護に関する社会問題が噴出している。最も深刻なのは、介護を担う人材の不足と介護保険制度の財源不足だという。

人材不足に関しては、将来にわたって慢性的に不足する懸念が強まっているという。2025年には約38万人が不足する推計も出ているという。各都道府県が対策に乗り出しているが、まだ明確な解決への道筋は見えていない。

財源不足については、介護保険制度の存続に関わる問題だと言える。介護保険料は上昇し続けているが、その上昇こそが慢性的な財源不足が解決していないことを物語っている。

本書では、介護事業会社を起業した筆者が、自らの経験をもとに、この業界の人材不足と財源不足という二つの課題を検討、解消策をまとめている。筆者は「介護業界に優秀な人材が集まってほしい」という願いを持っている。実際に優秀な人材が介護業界に注目し、起業しているが、どれもコンサルティングやIT化など、周辺の事業に留まっている。泥臭く介護事業を運営し大きくしたいという思いを持つ若手起業家は少ない。

筆者は、それが今後の業界の発展を妨げることに繋がるのではないかと危惧しているのだ。本書をきっかけに「日本を変えたい」という志を持つ人が介護業界に飛び込んできてくれることを願って執筆したという。起業を考えている人は、介護業界に企業の種を見つけられるかもしれない。ぜひ一読してみることをおすすめする。

親ケア.comオンラインサービス「繋がる」
おやろぐ