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介護の本書評「review-kaigo」

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第329回 わけあり記者の両親ダブル介護

「難病×仕事×介護」のトリプルコンボを経験

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

わけあり記者の両親ダブル介護
三浦耕喜(著)

内容

介護には、時間もお金も手間も掛かる。がんなどの治療技術が進歩した分、仕事と介護はもちろんのこと、仕事と治療、治療と介護を両立する人は増えてくるだろう。しかし筆者は「治療、仕事、介護」の両立ならぬ「三立」に挑戦してきた。これから増えるであろう、そんな人に向けた挑戦記。

書評

介護や闘病、障害、子育てなど、この世で生きていく上でのハンディキャップを抱えている人たちを意味する「訳あり人材」。筆者自身も新聞記者という仕事柄、ハードワークと介護、さらにはパーキンソン病になり、「わけあり人材」の仲間入りをしたという。

電通社員の自殺をきっかけに、働き方改革が議論され始めた昨今。長時間労働や人を摩滅させるような働き方はもう辞めよう、これからは介護や子育て、闘病、仕事などをいかに両立できる環境を用意できるかが企業経営でも重要になってくると叫ばれはじめつつある。これからの日本人は、何らかのハンディを抱えて生きていくことが標準になる。「わけなし人財」だけで会社や社会を回していくことは不可能な時代に突入しようとしているのだ。

「わけあり人材」でも働けて、キャリアを積める仕組みを作っていくことが、企業戦略において最も重要な位置を占めようとしているのだ。

筆者自身も徐々に身体の機能が失われていく根治治療法不明の病気であるパーキンソン病を患い、進行を少しでも遅らせるために服薬は欠かせない。死ぬまで薬を飲み続けてなんとかしのいでいるという。

筆者が伝えたいことはひとつ。「介護をする側の苦労や辛さは、介護をされる側が歩んできた人生について関心を持つことにより、ある程度、場合によっては相当程度、軽減される」ということ。その真意が本書には記されているので、ぜひその目で読んでみてほしい。

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