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介護の本書評「review-kaigo」

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第328回 認知症の親と「成年後見人」

安易に「成年後見人」にはなるな!

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症の親と「成年後見人」
永峰 英太郎(著)

内容

筆者は4年間、父の成年後見人を務めている。4年経過して強く思っているのが「成年後見人になるならもっと慎重に決めるべきだった」ということ。正確な知識がないのに、安易に成年後見人制度を利用し、後悔する人を減らしたいという思いで記した一冊。

書評

筆者は、両親がほぼ同時に意思疎通ができない状態に陥り、葬儀費用などの「お金問題」にぶち当たった。両親のメインバンクやキャッシュカードの暗証番号なども知らず、預金を引き出せない状態だったという。そんな八方塞がりの状態で耳にしたのが「成年後見人を立てれば可能です」という言葉。魔法の言葉のように感じたのか、筆者は即時成年後見人制度を活用して、両親の成年後見人になった。

だが、それが地獄の苦しみの始まりだったという。今思えば、もっと慎重に考えて決めるべきだったと後悔しているというのだ。特に、一度成年後見人になれば、後見を受ける人が死亡するまでやめることができない点は、本当に苦しいという。特に監督人に報酬が発生したり、相続税対策や暦年贈与ができなくなるなど、その時になって初めて成年後見人制度が足かせになることを知る場面が非常に多いのだという。だが、それらはすべて成年後見人制度を知る人が少ないから、というのが一番の理由だろう。

本書では、成年後見人制度について、筆者の実体験紹介はもちろんのこと、多くの専門家のもとへ足を運び、見たことや感じたことをありのままに伝えてくれている。内容は成年後見人になった筆者の体験に始まり、成年後見人制度の問題点、成年後見人をつけなくてもなんとかなるということの解説、そして本当に成年後見人制度が必要なタイミングや理由についても解説されている。

本書を読んで誤った選択をする人がひとりでも減ること、それが筆者の願いだ。

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