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介護の本書評「review-kaigo」

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第323回 ルポ 介護独身

少子化が生んだ新しい社会問題

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

ルポ 介護独身
山村 基毅 (著)

内容

自分のことだけを考えて良かった生活に、ある日突然親の介護が立ちはだかる。非婚、少子化と超高齢化社会が同時進行する中で、「介護独身」と呼べる人々が増え続けている。介護も一人で抱え込んでしまってもがく日々にルポライターが向き合う。

書評

独身者による介護を「シングル介護」と言ったりする。特に最近耳にする言葉ではないだろうか。近い将来は、介護の可能性があるかどうかが、結婚を決める重要な要素になるかもしれないという。このような状況下で生涯未婚率が上昇していけば、「シングル介護」は今後ますます増えていくと予想される。

このシングル介護を増やすのが「在宅介護推進の流れ」だ。国家の財源の問題から、介護予防、そして在宅介護を普遍化させようとする流れだ。

シングル介護する人たちが、介護が内包する暗鬱たる気分をさらに増幅させるのは、それをすべて一人で抱え込まなければならないからだ。シングル介護最大の悩みは「すべて自分ひとりで決断しなければならないこと」だという。親が認知症などなら、親の決断も子が行わなければならない。それが大きな負担なのだ。

公的なサービスも多々あり、良心的なケアマネジャーがいて相談にも乗ってくれる。それなのに常に孤独感に苛まれてしまう。周囲に人がいようといまいと関係ないのだ。優しく手を差しのべられるほどに、まるで「無人島にいるような孤独感」が押し寄せてくるのだ。そんな中で必ず「死」を伴う介護がノイローゼやうつを誘発しないはずがないのだ。それでもしっかりと介護する人もいる。本書では、自身も介護と向き合うルポライターが、そんな人たちの声に耳を傾けている。

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