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介護の本書評「review-kaigo」

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第320回 老後ひとりぼっち

結婚しても、子どもがいても、最後はひとり。

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

老後ひとりぼっち
松原惇子

内容

日本はいずれ「一人で過ごす老人ばかりの国」になると予想する筆者。だが、今の日本の制度では、保証人なしでは入院も手術もできないのが現実だ。保証人がいない老人は死ねというのだろうか?そうならないよう、今から抑えておくべきこと20項目をピックアップして解説。

書評

男性の生涯未婚率が20%を声、ひとり暮らし人口が増加傾向にあるのは間違いない。2035年には、人口の3人に一人が65歳以上の高齢者になり、都市部ではそのうちの4割以上が一人暮らしになるという。未婚女性の代名詞だった「おひとりさま」は過去のものとなり、誰もが老後はひとりで暮らす時代がまもなくやってこようとしているのだ。

これからは家族がいても、子どもがいても、老後はひとりになるという現実を受け止める必要があるだろう。結婚や子どもは老後の保険にはならない時代が到来したのだ。「妻より先に死ぬ」と思っている男性は特に危機感を持つべきだろう。

本書では、これから到来する「老後ひとりぼっち」時代を乗り切るための対策を「個人としてできること」と「社会を変えないと出来ないこと」という二つの切り口から捉え、解説している。

例えば、保証人問題がある。身内のいない高齢者にも保証人を求められるケースは少なくない。その弱みにつけ込むように保証人ビジネスも横行している。今は他人事であっても、いずれは自分ごとになることを忘れてはいけない。老人がひとりぼっちになっても、堂々と生きられる社会にしていきたいという想いが筆者にはあるようだ。その想いの実現をめざし、これまでの経験や知識をこの一冊に凝縮している。

一口に「老後ひとりぼっち」といっても寂しいひとりぼっちもあれば、幸せなひとりぼっちもある。「老後ひとりぼっち」に不安があるなら、ぜひ本書を手に取ってみてはいかがだろうか。

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