介護のコラムを読む

介護の本書評「review-kaigo」

戻る

第319回 認知症の人の心の中はどうなっているのか?

認知症の人の心の読み解き方

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症の人の心の中はどうなっているのか?
佐藤眞一

内容

認知症になって記憶が失われても、心が失われることはない、という言葉はよく聞くフレーズだ。ではその「心」とは一体どのようなものなのか?本書は最新の研究成果に基づいて、認知症の人の心の読み解き方を考えていく。

書評

認知症というと、これまでは脳トレや有酸素運動をはじめとする予防活動や「認知症サポーター」の養成が盛んに行われてきた。しかし結局、認知症で最も多いアルツハイマー型認知症を含め、多くの認知症は予防が困難なことがわかってきた。認知症サポーターも受講者は増えたが実際に介護サポートに携わる人は少ないのが現実だ。厚生労働省も認知症の人に対してどのようなサポートをすれば良いのかよくわかっていないのが現状だ。

そんな状況下で最後の砦と言われているのが、認知症ケアだ。認知症になっても自分らしく幸せに暮らすには、ケアの質を高め、より良いケアを提供することが、現状では有いつの方法となっている。そしてケアの質を高めるにはコミュニケーションが非常に重要だ。だが、認知症の人とのコミュニケーションはなかなかうまくいかない。それにより認知症の人はどんどん孤独になっていく。

ではどうすれば認知症の人ならではの会話の特徴を知り、コミュニケーションを図ることができるのか?本書ではまさにこれを読者とともに探っていこうというのだ。なぜなら認知症の人を知ると言うことは、自分の将来を知ることに繋がるからだ。

本書では、認知症の人の「心」をできる限り具体的に示そうとしている。心の内側を知り、その人の内なる世界を尊重することが認知症の人の孤独軽減などに繋がり、さらには幸福に繋がると信じるからだ。本書が周囲の人のハッピー・エイジングの手がかりになることを筆者は切に願っている。

親ケア.comオンラインサービス「繋がる」
おやろぐ