介護のコラムを読む

介護の本書評「review-kaigo」

戻る

第318回 絶望の超高齢化社会

2025年、介護崩壊!?

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

絶望の超高齢化社会
中村 淳彦

内容

2025年、介護職は100万人不足しているかもしれない。町中が高齢者で溢れかえり老人は金のなる木としてみられ、魑魅魍魎の悪徳業者があなたの老後をしゃぶり尽くすかもしれない。そう、テレビドラマでも話題になった「極道ヘルパー」は実在していた……。

書評

2025年の日本は、団塊の世代が後期高齢者となり、国民の5人に一人が75歳以上、3人に一人が65歳以上となる。これまで人類が経験したことがない超・超高齢化社会が到来することになる。

しかしながら一方で、介護職は100万人不足すると言われている。介護福祉士を養成する専門学校や大学は定員割れどころか定員の半分しか入学者がいない深刻な状況だ。もはや立ち直りがきかない末期的な状態に陥っているといえるのかもしれない。現在の介護業界は、重労働の上に低賃金となっており、人材が集まらないのだ。

多くの介護に携わる現役世代は、貧困と不幸の連鎖に苦しんでいる。女性介護職は貧困とストレスから売春に走り、男性介護職は虐待を繰り返すケースも少なくない。まさに崖っぷちの状態なのだ。現在の介護業界は、人を破滅させ、人生を潰すほどの負のエネルギーが渦巻いている。簡単に言えば、希望がない絶望の業界なのだ。しかも、国からの助成金を狙って暴力団が参入し、法務省の方針で元受刑者たちが介護現場に立ち始めてすらいる。

こうした状況を改善するには、まず介護に関わる人たちの業務改善、さらには経済的問題を解決しなければならない。加えて、介護家族は介護職の苦境を知らねばならない。ギリギリの状況の中で相手を尊重することなく、過剰な要求ばかりを突きつけてくる利用者は、そのツケを子どもたちに払わせることになる事実を知っておくべきだ。

本書を読めば、高齢者は高望みしない、介護職の人は自分たちの幸せを見つける、というところから始めないと、日本の介護業界が暗黒から抜け出すのは難しいと実感するだろう。

親ケア.comオンラインサービス「繋がる」
おやろぐ