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介護の本書評「review-kaigo」

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第312回 介護記録 いいかげんにしておばあちゃん

介護生活はドラマの連続だと実感

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

介護記録 いいかげんにしておばあちゃん
大沢 利子

内容

元病院看護師であり、作業療法士やケアマネージャーの資格も持つ女性主人公が、職場と家庭を両立させながら、さらには介護をする事態になり、恨みの気持ちや情の気持ちを錯綜させながらも、介護に奮闘する様子が描かれている。

書評

元病院看護師として経験を積み、作業療法士やケアマネージャーの資格を持つ女性主人公。65歳の定年を迎え、それまでの仕事と家庭に奮闘してきた日々を懐かしんでいると、90歳を超える姑が脳梗塞で倒れてしまう。

定年後は旅行や習いごと、友人との食事やおしゃべりなど、数々の楽しみを計画していたが、その日を堺に母の介護中心の苦悩の生活が始まる。

一筋縄でいかない介護生活と、姑への恨みの気持ちと長年生活を共にしてきた情が錯綜し、なんとも言えない気持ちで姑と向き合うことになる。そんな中で主人公をさあせたのは、介護の資格を持っているというプロ意識だ。しかし、嫁として相反する気持ちが勝る瞬間もあり、心が荒く揺れ動く。

この本を読んでいると、介護生活は、まさに「事実は、小説より奇なり。」という言葉が頭をよぎる。これは真実なのだ。介護は悲劇なのか喜劇なのか。介護はその老人を囲む家族みんなで担うものであり、本作は大介護時代に多くの問題を定義していると思う。最後の「よかったね。おばあちゃんしねたじゃないの。ほんとによかったね。」という言葉が刺さる。

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