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介護の本書評「review-kaigo」

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第307回 認知症の親を介護している人の心を守る本

自分の介護疲れを無視して頑張ってはダメ

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症の親を介護している人の心を守る本
西村 知香 (監修)

内容

家族の介護をする人は、自分の介護疲れを無視して、頑張ろうとしている人が多いのが現状。大切なのは完璧であることよりも、持続できること。ゆったり構え、心を楽に、一人で抱え込まないこと。介護で息切れしないためにすべきこと、やってはいけないことを紹介。

書評

本書は完璧な介護を求める人には向いていない。でも、それで良いのだ、と筆者。完璧な介護より、続けられる介護の方がずっと大切だからだ、という。高齢者虐待が社会問題化しているが、周囲の理解を得られずに介護に行き詰まり、「相手を殺して自分も死のう」と思い詰めてしまう心境は、介護者なら共感するところが多いはずだ。

筆者は老老介護の末、認知症の妻を絞め殺して、その夫が自殺してしまった事例に関わったことがあるという。夫は本当に優しい人だったという。今思い出しても「真面目手一生懸命、すべてに全力を尽くすタイプ」の人だったという。このケースに関わったことで、筆者は「おせっかいでもいい、本格的に介護者をケアしよう」と決めたという。

一体どんな人がうつになりやすいのか、虐待に走ってしまうのか、どうすれば介護うつや虐待をなくせるのか、いつも考えているという。認知症という直ることがない病気と上手につきあいながら幸せに暮らすヒントを提供できればと考えているという。

本書では、筆者の経験に基づき、どのようにアプローチすると、認知症介護がうまく進むのかを紹介している。介護で悩む人にとって「こんな考え方もあるんか」というヒントになり、前向きに取り組む手伝いがしたいと本書をしたためた。

誰もが迷いながら介護している。だからこそ本書によって「これで良かった」と思えるようになって欲しいという。

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