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介護の本書評「review-kaigo」

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第306回 うつでも介護士

「誰かを支えたい」気持ちが一番の原動力になる

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

うつでも介護士
渡辺 河童

内容

重度うつ病と戦いながら介護士になり、再び生き始めたマンガ家が赤裸々に綴るノンフィクションコミック。うつのドン底体験から得たアレコレを紹介。介護士資格取得のノウハウや訪問支援についての説明も充実。

書評

筆者はうつ病になり、その後介護士として再起したのだが、本書ではその間に起こった「現実」が綴られている。漫画を書いたり、介護士として仕事が出来るようになるまでは本当に紆余曲折があったそうだ。頼れるような家族も人間関係もない筆者がどのようにしてうつ病と向き合い、闘病しながら漫画化をしつつ介護士を続けることができているのか、本書では赤裸々に語られている。

筆者によると、うつ病は今でこそ一般に知られる病気となったが、なったことがない人には人生に甘えた人間とか怠けている人間に見えたりする病気だという。本書ではうつ病の真実を知り見識を深めてもらうと同時に、簡単ではなかった闘病生活を生々しく綴るという使命を持って臨んだという。

筆者にとっては、介護士として誰かに必要とされることが、最も効果的なうつ病の治療法だったという。うつ病にかかっている筆者は、「自分などこの世の中に必要ない存在」、「自分などこの世にはいない方が…」という精神状態だったという。だが、介護士として高齢者やその家族と接する中で、「自分は生きていても良いのだ」と思えるようになったという。

自分が笑顔を持って真面目に接していれば、利用者の方々は嘘偽り泣く評価してくれたという。それが筆者の心を溶かし、「病気に負けている場合じゃない」という気持ちになれたのだという。その想いは今も原動力になっているという。

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