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介護の本書評「review-kaigo」

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第302回 子育て飛ばして介護かよ

義理の両親2人の介護が一気にやってきた!

子育てとばして介護かよ

子育てとばして介護かよ
島影 真奈美

内容

それまで元気だった夫の両親と、その実家にほとんど寄りつくこともなかった嫁。しかし突然、夫の両親が二人とも認知症の疑いが……。動揺する親族たちの中で、いかにして両親の介護を進めていったかが記されている。

書評

先送り癖がある夫と、抱え込みがちの嫁。夫の両親が認知症を発症し始めたのをきっかけに巻き起こる騒動を面白おかしく、時にはシリアスに、時にはリアルに描かれている。

筆者も介護を始めた当初は、目の前の出来事に対応するだけで手いっぱいで、気づけば「わたしがやらなければ」の沼にハマり、抜け出せなくなっていたという。あとで思い返せば、そこまで慌てる必要もないことも、すぐにその場で完了させて安心しようとしていた気がするという。サッサと結論めいたものを決めて安心したかったのだろう、と筆者自身が思っており、今では結論が出ないことも受け入れられるようになってきたという。

対する夫は、優柔不断で常に発揮される「先送り力」にイラつきながらも、実はこの先送り力が介護の現場では非常にプラスに働くと感じているそうだ。

本書では、さまざまなエピソードが描かれているが、やたらとシリアスになるわけでもなく、どこか憎めない笑いがある。現実の介護って、決して辛くて厳しいことばかりではないのだと励ましてくれているような気がした。

筆者は親の老化が気になり、不安に思い始めている人のもとに本書が届くことを願っている。親の追いとマイペースに向き合うきっかけのひとつとして役立つこともまた願っているという。

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