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介護の本書評「review-kaigo」

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第301回 8050問題

ひきこもりから再生する物語。

8050問題 中高年ひきこもり、7つの家族の再生物語

8050問題 中高年ひきこもり、7つの家族の再生物語
黒川 祥子

内容

8050問題とは、80歳代の親が50歳代の引きこもりの子どもを抱えている家庭、さらにはそこから派生する問題をさす言葉。1990年代の引きこもり問題が解決されることなく、当事者が中高年に達している。親も高齢化し、問題はかつてない深刻度と言えるのだ。

書評

「社会的引きこもり」が発見されてから約20年。ひきこもりの事態は、悪化の一途を辿っている。

支援という外部の手が届かなかったひきこもりが今、40歳代や50歳代になっている。父はサラリーマンで給料は右肩上がり、経済的に裕福だったために、定年退職後もひきこもりの子どもを抱え込み続けることができた。しかし今、親も高齢化し、自身の病気や介護、年金生活の厳しさという経済的問題もあり、外部に助けを求めざるを得なくなり、問題が次々と白日の下にさらされる事態が起こっている。

80歳代の親と50歳代の子どものひきこもり。なぜそのようないびつな状態に、その家族は行き着いてしまったのか。

本書は「8050問題」について、家族と当事者に焦点を当てている。それは多くの当事者のひきこもりが家族のあり方と密接に関係しているからだという。しかも、それは家族ごとに千差万別だという。本書には7つの家族が登場する。本書は決して引きこもりを解決する特効薬やノウハウが掲載されているわけではない。生きた人間のドラマが描かれているのだ。だからこそ、しっかりと脳裏に焼き付けるべきかもしれない。

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