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介護の本書評「review-kaigo」

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第176回 親が死ぬまでに聞いておきたい45のこと

「聞いておけば良かった」と後悔する前に。

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親が死ぬまでに聞いておきたい45のこと (中経出版)
米山 公啓

内容

親のお金や介護、さらには死についてまで、親が死んでから「生きてるうちに聞いておけば良かった」と後悔することは結構多いと聞く。本書では、普段はなかなか話を聞く機会はない親に聞いておくべきことを45個ピックアップ。時間はありそうで、あまりない、それが現実だ。

書評

大抵の子どもは「親はいつまでも元気でいるもの」と思っている。だから仕事の忙しさや距離の遠さを理由にして、なかなか話をする機会がないまま時はどんどん過ぎていく。そしてある時、親が倒れたと連絡がある。急いで駆けつけてみると、そこにはすでに意識のない親が横たわっており、唖然として立ち尽くしている自分がいた…。

こんなことは現実にならない方が良い。だが、私たちは「親とはいつでも話ができる」「次の機会に話そう」と思って面と向かって話を聞くことができないままになりがちだ。

精神科医である筆者は、さまざまな患者と家族を見てきた上、自らも両親を9年間介護してきた経験を持つ。生前に親の借金や財産といった「お金のこと」も、死後にもっともよく揉めるのはお金のことだという。「死についてのこと」は、生きているうちに「どう死にたいか」を聞くのは不謹慎だという。だが医師である筆者は「これを本人が望んでいただろうか」と思わせる現場に出くわすことも少なくないという。最期はどんな風に迎えたいか、聞いておけば悔いも残らないはずだ。

「お金」「介護」「死」のどれも、親が死んでから「あぁ、聞いておけば良かった」と後悔することが多いという。本書では、普段はなかなか話をすることがない親に、これだけは聞いておくべきということを45に絞ってあげられている。すべて聞くのも良いし、一部を聞くだけでも良い。本書をきっかけに話し合う機会が生まれれば、本書を読む価値は十分にある。

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