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【お悩み113】母がガンに。家族を守るために介護休業を取りたいが、上司が断ってきた。

【お悩み113】母がガンに。家族を守るために介護休業を取りたいが、上司が断ってきた。のイメージ

私と妻、中2の息子は、東北にある実家を二世帯住宅にリフォームして、私の両親と同居しています。幸い、両親と妻子の仲は良好で、妻の発案で5人そろって旅行に出かけたりもしています。同居を始める際に、お金のことはそれぞれが平等に負担しようと決めたのも、良かったんだと思います。水回りや玄関なども別々なので、生活サイクルも無理に合わせる必要がありません。

そんななかで、母にガンが見つかりました。両親共に健康には自信があったので、二人ともかなり動揺しています。私も正直驚いていますが、見つかったのが早かったこともあり、主治医によると5年生存率も高いとのこと。ただし、入院自体は1週間程度で済んだものの、抗がん剤治療を半年ぐらいやる必要があるようで、その期間は体力的にもツラい状況になりそうです。

母は、父の身の回りのことができなくなるのが我慢できないようですが、70歳を過ぎていることもあり、無理はさせられません。父は昔気質の仕事人間だったので、家のことについてはまったくアテになりません。とは言え、フルタイムで働いて一緒に家計を支えてくれている妻に、両親のことを丸投げにするのは避けたいです。妻は「私がやる」と言ってくれているのですが、私が断っている状況。恥ずかしながら、連日、両親の世話に時間をとられるようになってから、私自身も心身の疲れが抜けない日々が続いています。

妻が会社で同僚と話す際に、現状を相談したところ、「介護休業を使ってみるのもアリじゃない?」とアドバイスされたそうです。早速、私から会社の上司に「介護休業を取りたい」と伝えたところ、「本当にに介護休業を取る必要があるのか?」「こんなタイミングで介護休業を使うと、後で困ることになるかもしれないぞ」と言われ、ショックを受けています。

介護休業って、法律で認められている、従業員の権利ですよね。うちの会社は、おかしいんじゃないでしょうか?
どうやれば上司を説得して、介護休業を取れるのか、教えてください。

お母さんのガン、驚かれたことと思います。早く見つかったのは幸いでした。とはいえ、半年の抗がん剤治療は長丁場です。ご本人も、支えるご家族も体力を削られます。

いただいたご相談について、私なりに率直な意見を書かせていただきます。

■介護休業は「介護をするための休み」ではない
相談者さんの言うとおり、「介護休業」は法律で認められた権利です。対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れます。取得を理由にした解雇や降格も、法律で禁じられています。

ただ、一つ確認させてください。「親の世話をするための休み」と考えていませんか? それは完全に間違いです。

自分が直接手を動かさなくても、親の暮らしが成り立つような仕組みを作るための休みです。93日は、ケアマネジャー選びやサービスの調整、家族間の話し合いに充てる準備期間なんです。そうした仕組みを作らず、93日間ひたすら世話をしたらどうなるか。94日目、会社に戻った途端に手が足りなくなります。

もう一つ。93日というのは、親1人の介護にあたって取得できるすべての日数です。介護休業をいま使い切れば、将来お母さんの状態が悪くなったとき、もう取れません。介護は長引きがちです。介護期間が10年を超えることも珍しくありません。

上司の「後で困るぞ」という言い方には、引っかかりが残ります。けれど、この二点を指していた可能性もあるのではないでしょうか?


■病院のガン相談支援センターへ相談
最初に相談してほしいのは、お母さんが治療を受けている病院のガン相談支援センターです。

治療や副作用だけでなく、療養生活、介護保険、福祉サービス、仕事、お金、家族の負担についても相談できます。本人だけでなく家族も無料で相談できます。


■地域包括支援センターへ相談を
いただいた相談を読んだ限り、地域包括支援センターへのご相談をなさっていないように感じました。

もしそうなら、大至急連絡して、相談しに足を運んでください。。要介護認定の申請も手伝ってくれます。お母さんは70歳を過ぎているので、病名に関係なく申請できます。

認定が出て訪問介護を使えるようになれば、入浴や着替え、トイレなどの介助をヘルパーに任せられます。治療中の体調しだいでは、要支援や非該当と判定されることもあります。

ただし注意点が一つ。最近はいろいろと厳しくなっており、掃除・洗濯・調理といった生活援助は、同居家族がいると原則使えません。ただしケアマネジャーが必要と判断し、同居家族が高齢で家事ができないなどの事情があれば、使える場合があります。二世帯住宅の扱いも自治体で違います。いったん外に出ないと行き来できない造りなら「別居」と見る自治体もあります。お住まいの市町村での扱いを、ケアマネジャーに確かめてください。


■お父さんの生活を整える
お母さんが今まで、お父さんの食事、洗濯、掃除などを全部やってきたのであれば、今回を機会に「お父さん自身の生活をどうするか」についても調整が必要です。

お母さんのために利用する訪問介護では、同居しているお父さんの食事や洗濯までやってもらうことはできまません。介護保険による生活援助は、原則として利用者本人に必要な援助だからです。

可能な範囲でお父さん自身にできることはやってもらう。最初のうちは、相談者さんがお父さんと一緒に買い物に行ったり、簡単な家事を一緒にやったりしながら、できることを増やしてもらうのが良いと思います。

「お父さんは昔気質だから、家事なんかできないだろう」と諦め、お母さんや奥さんが全部引き受ける形にするのは避けてください。もちろん、相談者さんが抱え込むのもダメ。いくつになっても、身のまわりのことができたほうが良いのは間違いないはず。ご両親の今後のためにも、お父さんの家事スキルアップは有効なはずです。

それでも難しい部分については、配食サービス、ネットスーパー、家事代行、自治体の高齢者支援、シルバー人材センターなどを組み合わせるのが良いと思います。このあたりも、何が使えるかは自治体によって違うので、地域包括支援センターに相談してください。

シルバー人材センターでは地域によって、掃除、洗濯、買い物、食事づくりなどの家事援助を扱っています。料金やサービス内容はセンターごとに異なるので、地元のセンターに確認してください。


■休みを取る場合は「有休→介護休暇→時短など」の順で
通院の付き添いや急な用事など、相談者さん自身が動く場面は、どうしてもゼロにはできないと思います。

そうしたときは、まずは「有休休暇」を利用しましょう。給料が減らないので、家計の土台が揺らぎません。それで足りなければ「介護休暇」。年5日まで、1日単位でも時間単位でも取れて、有休とは別枠です。会社によって例外はあるものの、基本的には無給となります。

さらに、「時短勤務」「フレックスタイム」「始業・終業時間の繰り上げ繰り下げ」「介護サービス費用の助成」のうち、会社はどれか一つ以上を用意する義務があるので、それを利用するといった感じです。

今後の状況にもよりますが、次のような制度の使い分けも考えられます。
 ↓
・普段の通院付き添い → 有給休暇や介護休暇
・治療日の送り迎え → 時差出勤・フレックスタイムなど
・一定期間、勤務時間を減らしたい → 短時間勤務等
・支援体制を一気に整える必要がある → 介護休業

上司が細かい制度をすべて把握しているとは限らないので、会社の人事部門に教えてもらうのが良いと思います。

ありがとうございます。いろんな制度があるんですね。人事に仲の良い同期がいるので、詳しく話を聞いてみようと思います。

しつこいようですが、今後の状況の変化のなかで、やはり「介護休業を取りたい」となった場合は、どのように上司に伝えれば良いでしょうか?

どうしても介護休業が必要なら、上司と話をする際に、「親が大変なので介護休業を取りたい」という伝え方をするのはやめましょう。

せめて、下記ぐらいは具体的に整理して伝えたいところです。
 ↓
「母の治療は半年程度続く見込みです。家族だけで介護するつもりはありません。病院の相談窓口と地域包括支援センターに相談し、外部サービスを導入します。通院は有休と介護休暇、日常的な対応は短時間勤務等を組み合わせたいと考えています。そのうえで、支援体制を整えるために○日間の介護休業を取得したいです」

ここまで具体的に整理して、人事担当者にも同席してもらうのがよいでしょう。

2025年4月からは、介護に直面したことを申し出た労働者に対し、会社には介護休業などの制度を個別に周知し、利用意向を確認することも義務づけられています。厚生労働省は2026年度版の「仕事と介護の両立支援プラン」も公開しています。会社と一緒に具体的な両立プランを作る、という進め方ができます。

要件を満たして正式に介護休業を申し出たのであれば、会社側が単に「忙しいから」「今は困るから」という理由だけで拒否できるものではありません。

ただし、前述の通り、介護休業以外にもさまざまな両立支援制度があります。介護保険などの公的制度もあります。相談者さん自身が介護を抱え込まないためにも、まずは別の制度から使っていくべき段階のような気がします。

介護休業という名前なのに介護に専念してはいけないなんて思いませんでした。

私はひとり息子なので、両親の面倒についてはすべて自分が見るものだと考えていたんですが、妻とも話し合って、抱え込まない方法を検討していきます。

連日の世話で、疲れが抜けない。この状態が半年続いたら、どうなるでしょう。相談者さんが倒れれば、奥さんも息子さんも、ご両親も困ります。

「自分が全部やる」「家族だけで何とかする」。その考えは、今すぐ捨てましょう。使える制度は、遠慮なく使っていいんです。

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