母が若い頃になくなり、私と弟をひとりで育ててくれた父も85歳。先日、実家の庭で転び、腰の骨を折ってしまいました。
私たち姉弟はそれぞれ結婚して、実家から離れた場所で暮らしているんですが、私の仕事はテレワークで対応できるものなので、会社と夫に相談して、急遽帰省。実家から父が入院している病院へと通っています。幸い、父が入院している病院は面会時間の制限などがなく、久々に父娘の時間を過ごしています。
主治医によると、あと1カ月ぐらいで退院できるそうなんですが、その後、リハビリに半年ぐらい。元通り歩けるようになるのか、車いすを使う必要があるのかは、今の時点ではわからないとのこと。車いすでの生活となると、家事や炊事はもちろん、実家のなかでの移動についても苦労しそうです。
長年、子どもに弱いところを見せてこなかった父が、私が見舞いに行くのを心待ちにしている姿を見ると、父の退院後も一緒に暮らしたほうが良いかもと気持ちが揺れています。週末、見舞いにやって来た弟とふたりで話したときも、「姉ちゃんが一緒に暮らしてくれるのなら、すごく安心」「父さんの介護にお金がかかるようなら、多めに払っても良い」と言われました。
これから私はどうすれば良いんでしょうか。夫には「一時的な帰省」と伝えており、中学生と小学生の息子の面倒も見てもらっています。弟は高校教師のため、テレワークをしながら実家で過ごすのはムリ。消去法でいけば、私が同居するしかなさそうですが、これ以上、夫や子どもたちに迷惑をかけるのもツラいです。
お父さんが相談者さんの来訪を心待ちにされているとのこと。長年弱さを見せなかった方だからこそ、その姿に胸を打たれ、気持ちが揺れるのは自然なことです。
ただ、その気持ちと「同居すべきかどうか」は、いったん切り分けて考えることをオススメします。結論から言えば、「同居ありき」で方針を決める必要はありません。同居しなくてもお父さまを支える方法はたくさんあります。
私なりに、どんな順番で対応すべきかをまとめてみました。
1.お父さんの希望を聞く(ただし無理な要望には「無理」と伝える)
退院後にどう暮らしたいのか、お父さん自身の気持ちを聞くことが出発点です。ただし、「お前と一緒に暮らしたい」という希望が出たとしても、それをそのまま受け入れる必要はありません。相談者さんには夫や子どもたちとの生活があります。
叶えられないことは「それは無理だよ」と正直に伝えましょう。希望を聞くことと、すべてを叶えることは別物です。
2.弟さんとの役割分担を「今のうちに」決める
弟さんは「お金は多めに払ってもいい」と言ってくれています。これはとてもありがたいことですが、介護は費用負担だけではありません。次のような役割を、口約束ではなく具体的に分担しておきましょう。
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・費用分担(介護保険の自己負担分、帰省にかかる交通費、リフォーム費、施設費など)
・ケアマネジャーや医療機関との連絡・調整役
・お金の管理(通帳・支払い・各種手続き)
・介護方針の決定(在宅か施設か、方針転換の判断)
「誰かひとりがすべてを背負う」という構図を避けることが、相談者さんはもちろん、お父さんや弟さんを守ることにつながります。
また当然ながら、介護費用は基本的にお父さんの年金や預貯金などで行うべきものです。お父さんからお金の話を聞き出し、できるだけその範囲で対応することについても、弟さんと意識を合わせておきましょう。
3. 入院中に「大至急」要介護認定の手続きを
これは絶対に必要なことです。入院しているうちに要介護認定を申請してください。認定が出るまで早くて1カ月ほどかかるため、退院に間に合わせるには今すぐ動く必要があります。
病院の医療ソーシャルワーカー(地域連携室)に相談すれば、手続きの流れを教えてくれるはず。退院後のケアプラン作成もスムーズになります。
自治体によっては、退院する時点で要介護認定の結果が間に合わないこともあるでしょうが、地域包括支援センターに「暫定ケアプラン」を依頼することで、当面の生活に必要となるサービスが利用できるようになります。
4. 在宅生活を選ぶ場合に支えとなる公的サービス
仮に実家での在宅生活を選んだとしても、あなたが同居しなくても支える仕組みがたくさんあります。
・バリアフリーリフォーム:手すり設置・段差解消・車いす対応など。介護保険の住宅改修費(上限20万円)が使えます
・訪問リハビリテーション:自宅でリハビリを継続でき、回復を後押しします
・デイサービス:日中の入浴・食事・機能訓練。お母さんの気分転換にも有効です
・ショートステイ:数日~数週間の宿泊。相談者さんや弟さんが対応できない期間を埋められます
・見守り機器の導入:センサーやカメラで離れていても状況を把握できます
・シルバー人材センターの活用:介護保険でカバーできない庭仕事・買い物などの用事に使えます
さらに、実家がある地域で空きがあれば「定期巡回・随時対応型訪問介護看護(1日複数回の訪問+緊急時対応)」や「看護小規模多機能型居宅介護(訪問・通い・泊まりを組み合わせられる)」を利用することも有力な選択肢となります。
こうした公的サービスを賢く組み合わせていけば、同居しなくても在宅生活は十分に成り立ちます。
5.実家での暮らしが難しそうなら、「施設」も前向きに考える
車いす生活になり、実家での暮らしがどうしても難しそうなら、施設という選択を後ろめたく思う必要はありません。
ここで一点、大切なことをお伝えします。
施設を探すなら、実家の近くではなく、相談者さんの家の近く、または弟さんの家の近くで探してください。実家近くの施設にすると、結局子ども側が遠方から通い続けることになり、負担が形を変えて残ってしまいます。子ども側の生活圏にある施設なら、無理なく顔を出せて、お父さまも家族に会いやすくなります。
最後に。相談者さんは「消去法でいけば自分が同居するしかない」と感じておられますが、それは違います。テレワークができることと、同居して介護を一手に引き受けることは、まったく別の話です。今できる一番のことは、あなたが実家に住み込むことではなく、公的サービスと役割分担の仕組みを整えることです。
夫やお子さんに「一時的な帰省」と伝えている以上、その約束を守ることも、あなたの大切な家族への責任です。ご自身の生活を犠牲にしなくても、お父さまを支える道は必ずあります。まずは病院の医療ソーシャルワーカーへの相談と、要介護認定の申請から始めましょう。
同居以外の選択肢があるんですね。やるべきことを順番に教えてもらえて、とても助かります!
先ほど弟に「同居はできないけど、お父さんを支えたい気持ちは本当」「私なりに考えていることがあるから、お互いの生活を守りながら協力していこう」と連絡して、近いうちに会うことになりました。
弟さんとの話し合いが実りあるものになるよう、お祈りします。



