実家で両親と暮らす妹は、45歳になっても独身のまま。決まった仕事に就いているわけでもなく、親から小遣いをもらいながら、毎日、のんびりと暮らしています。
家事や炊事はすべて母の担当。少しは家のことを手伝ったらどうかと話しても、「母さんが『やらなくて良い』って言うから」と聞く耳を持ちません。
正月などに帰省した際、両親とも話し合ったんですが「○子(妹)は、のんびり屋さんだから、私たちが助けてやらないと……」と、状況を改善するつもりはない様子です。
両親も高齢なので、「これから先、身体が弱ってきたり、介護が必要になったらどうするつもりなの?」と聞いたら、「お姉ちゃんはしっかりしているから、頼りにしている」と言われてしまいました。
仕事の都合もあって遅めに結婚した私には、中学生と小学生の子どもがおり、将来的に両親と同居することなど考えられません。
妹に自覚を持ってもらい、将来的に介護のキーマンになってほしいと考えているが、どのように話し合えば良いのでしょうか……?
キツい言い方になりますが、パラサイト状態の妹さんが急にしっかりした人になってくれる可能性は、高くないと思います。そのうえでご両親は、妹さんには手間や費用をかけるものの、お姉さんに対しては頼るつもり。
このまま何もしなければ、すべての重荷を相談者さんが背負う状況になりかねません。
勇気は必要ですが、介護と相続をワンセットで話をすることをオススメします。
現在の民法では、子どものなかで誰かひとりが介護を頑張ったり、費用を負担したとしても、相続の際に報いられることはありません。ルール的には「特別な寄与分」が認められることになっていますが、ほかの相続人が文句を付けてきたりして話し合いが裁判所までもつれ込んだ場合、寄与分が認められる可能性は極めて低いものとなります。経済的な面だけで言えば、「介護した者損」「頑張った者損」なんですよね。
長年、親元でのんびりと過ごしてきた妹さんとしては、自ら頑張って介護を担うような意識はないでしょう。また、定職や収入源がないわけですから、ご両親が亡くなられた後は実家に住み続け、ご両親が残した遺産を頼りに暮らそうと考えていても不思議ではありません。
相談者さんからすれば、不公平だと感じて当然だと思います。
ご両親や妹さんと話し合いを行い、妹さんが介護にかかわらない、介護にかかる金銭的な負担も行わないのであれば「相続放棄を行ってほしい」と伝えましょう。
変な話ですが、こうした相談をした直後から、兄弟姉妹が急に協力的になることも少なくありません。「金の亡者だ」と非難されることも考えられますが、そうした兄弟姉妹は「介護の敵」。早めに正体がわかったことを喜ぶぐらいのつもりで十分ではないでしょうか。
話し合った内容は口約束で終わらせず、「扶養契約公正証書」を作ることを強くオススメします。また、これと同時に、ご両親には「遺産はすべて長女に」と書いた公正証書遺言も作ってもらいましょう。さらに妹さんに「遺留分放棄の申立書」を家庭裁判所に提出してもらい、裁判所からの許可が下りるところまでいけば完璧です。自力では難しいようなら、弁護士や司法書士に相談してみましょう。費用的にもそこまで高額ではありません。
※正確に言えば、この手続きは「相続放棄」ではなく、「親が生きている間に、法定相続人のうち介護に関わらない者へ遺産が分配されないようにする契約」です。本来の「相続放棄」は、親が亡くなって相続が発生してから、法定相続人のうち遺産が不要な人が行うものですが、相談者さんへの説明をわかりやすくするため、あえて「相続放棄」という言葉を使っています。
いろいろな契約ごとが終わったら、ご両親のお金を使いいつつ、遠距離介護でできる範囲のことを粛々と進め、ご両親が実家で暮らすのが困難な状況になれば、施設を利用するのが良いと思います。遠距離介護とは言え、頻繁に帰省する必要があるので、その分を含めた報酬だと考えて相続の際には堂々と多めに受け取ってください。
ご両親がそうした話し合いに乗ってくれない、あるいは非協力的ならば、精神的にも肉体的にも距離をとることをオススメします。ご両親が求めているのは自分たちの世話をしてくれる、そして将来的に妹の面倒を見てくれる都合のよい存在であり、お互いが支え合う身内ではありません。
基本的には自分から会いに行ったり、連絡をするのではなく、ご両親が困った状況になった際に実家近くの地域包括支援センターに電話して「実家で同居している妹が介護のキーマンです」と丸投げしてしまいましょう。ご両親や妹さんが、いよいよ追い詰められた状況になったら、その際にもう一度話し合いを行い、役割分担を決めればよいと思います。当然ですが「できないこと」「したくないこと」は、断っても構いません。
結婚している時点で、相談者さんの家族はご主人とお子さんのみ。まずはご自身と、大切な家族を守ることを第一になさってください。
もちろん、身内に対する思いやさまざまな家庭環境があるので、最終的にどこまで踏み込むのかは、相談者さんご自身で決めてくださいね。私としては、何かを押しつけたいわけではないので。
自分がすべてを担わなくてよいことに安心しました。両親のお金を食い潰すだけの妹にもモヤモヤしていたので、スッキリした気持ちです。
まとまった休みのタイミングで帰省して、しっかり話し合ってみようと思います。
私の実家の問題については、主人もかなり心配してくれています。両親や妹と話し合う際には、主人にも同席してもらったほうが良いでしょうか?
相談者さんやご主人の性格にもよりますが……。
次のような場合は、ご主人に同席してもらうのが良いと思います。
↓
・相談者さんが、どちらかというと気弱で、ご両親や妹さんに言い負かされる可能性が高い
・ご主人が問題解決に協力的で、ある程度以上、口が立つ
・ご主人が感情的になりやすいタイプではなく、冷静に話し合いができるタイプ
少し大げさに感じるかもしれませんが、ご両親や妹さんが頑なな場合は、話し合いを行う際に弁護士に同席してもらうのも効果的です。多くの人は、話し合いの場に弁護士がいるだけで対応が丁寧になりますし、こちらの本気度も伝わりやすいので。






