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介護の本書評「review-kaigo」

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第372回 認知症介護と仕事の両立ハンドブック

認知症介護は仕事にもプラスになる!

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症介護と仕事の両立ハンドブック
角田 とよ子 (著), 須貝 佑一 (監修)

内容

介護家族や企業で働く人からの相談を受け、認知症の本人や医療、介護の専門家と交流してきた筆者。本書は、そこで得られた情報や身内を介護して見送った経験を認知症介護と仕事を両立させたい方々にお伝えしたい、さらには「親が認知症になっても安心して働き続けられる社会づくり」の役に立ちたいと執筆された一冊。

書評

認知症という病気は、少しずつ理解が深まりつつある病気と言えるかもしれない。認知症に対して、怖いという印象は薄れ、客観的かつ温かい目で捉えるようになった人が少しずつではあるが増えてきているように感じる。これは、より多くの情報が多くの人に共有された結果であり、「認知症を知る」ということが、いかに大切なことかを物語っている。

筆者は、2004年から認知症患者本人やその家族と交流を続けてきた。そこから得られた情報や認知症患者の家族を見送った経験を「認知症介護と仕事の両立」をめざす人に届けたいという想いで本書を執筆したそうだ。筆者によると、実際に認知症介護は仕事にもプラスになる要素が満ちているそうだ。認知症の親とのコミュニケーションに苦労したことや、時間の制約を乗り切るために工夫したことは、必ずビジネスのスキルアップにつながっている、と。前向きに取り組んだことは、必ず自身の力になる、と。

一人ひとり違う人間が認知症を呈して、一人ひとり違う人間が仕事と両立しながら介護をする。「みんな違ってみんないい」をめざしてきたのだ。筆者は、本書が誰かの自分なりの両立実現に少しでも役立つことを願っている。

そうした目的から、本書は認知症の基礎知識から、介護の進め方、実際に認知症介護に取り組む際のヒント、公的支援や介護に関する法律の解説、認知症介護に関するQ&Aなど、基礎から応用まで認知症介護に関するテーマやポイントを幅広く押さえ、解説してくれている。
特に最後の章の「認知症予防、症状改善Q&A」は、これから認知症になる可能性があるかもしれない若い人ほど、読む価値がある内容だと感じた。

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