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介護の本書評「review-kaigo」

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第354回 認知症のある人と向き合う

認知症の人が安心して暮らすための21のヒント

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症のある人と向き合う
大石 智(著)

内容

認知症にまつわる医師の説明や世にあふれる情報は悲観的な内容ばかりだ。自分自身が認知症だと、早期に診断されても、そこには絶望しかないと考えるのが普通なほど。本書は認知症と診断された人の声に対し、どう答えていくかを考えるために、医師自身が「診断とともに本人に伝えたい言葉」をテーマに綴っている。

書評

高齢化社会が進む中で、認知症の患者はどんどん増えている。国は認知症があっても安心して暮らせる街を作ろうと、国家戦略を策定して展開している。認知症疾患医療センター、専門相談事業、診療、地域連携、人材育成など、幅広い文化を急ピッチで成長させようとしている。

さらに、医師に対しても認知症を専門としない医師にも認知症への理解と対応力向上が求められ、各地で研修会が開かれているそうだ。また、認知症の人自身も国の政策作りに参画するできるようになっている。

国が展開する取り組みはさまざまだが、筆者は認知症があっても、あるいは認知症の可能性が考慮されるだけでも、安心して暮らせない状況をたびたび目にしているという。

本書では、21の項目に分けて、認知症患者との向き合い方、伝えたい言葉、対話の仕方、意識すべきことなどを記している。筆者は、最も認知症患者に偏見や差別の意識を持っているのは医師自身だという。だからこそ、本来廃止に向けた内容の文章が一般の人々にも役立つ内容だろうと推測している。

筆者は本書が広まることで、認知症のある人を理解している人々にあふれた街が増え、認知症があっても安心して暮らせることが当たり前な時代の到来を願っている。そんな日が日本に到来する日はいつになるのだろう。ずっと先のようで、実は案外近いのかもしれない。

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