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介護の本書評「review-kaigo」

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第258回 後悔しないための介護ハンドブック

介護の最初、やるべき手続きや順序がわかる!

後悔しないための介護ハンドブック
阿久津 美栄子

内容

介護のためには、介護保険の仕組みや、困った行動への対処法、かかるお金、家族との役割調整まで、さまざまな情報や知識を集める必要がある。本書では、介護の始まりから終わりまでの一連を、できるだけ簡潔にまとめ、それぞれのシーンで必要な情報や知識をわかりやすく紹介している。

書評

介護をはじめる人が思うことがある。介護とは他人の家庭のことで、自分には関係のない話だと。だが、実際に介護はやってくる。介護の当事者になった時、「私が?」とか「今なの?」という感想が出てくるそうだ。

介護とは、日常に、無償の労働時間が増えるということに尽きる、と筆者。ドライではあるが、現実的な言葉とも言える。タダでさえ、時間に余裕のない日常に、経験したことがない「介護」が加わるのだ。親を大切にする心は需要だが、それ以上に身体を酷使する労働であることを割り切って理解しておくことが必要だという。また、介護は「介護する方」も初心者なら、「介護される方も初心者」であることを胸に留めておく必要がある。それを何とか強力しながら進めていくのに必要となるのが、情報と知識なのだ。

本書では「介護の始まりから、介護の終わりまで」の一連を、できるだけ簡潔に、そしてわかりやすくまとめられている。詳細な内容が足りないと感じるかもしれないが、「足りないこと」がわかるなら、おそらく自分で調べることができるし、その方が早いだろう。それでも本書は情報を得るという視点から見れば、貴重なヒントとなるだろう。

介護はある日突然誰にでも起こりうる「日常」だと筆者。特別なことと身構えずに、でも大変なことだという自覚を持つことが必要だ。そして残された親子の時間、家族の時間をできるだけ幸福に過ごすべく、本書はその一助となることができるのではないだろうか。

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