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介護の本書評「review-kaigo」

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第190回 人生を狂わせずに親の「老い」とつき合う

ありがちな「介護美談」の常識を覆す一冊。

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人生を狂わせずに親の「老い」とつき合う 「介護崩壊」時代に親子の絆を守る (講談社+α新書)
和田秀樹

内容

親の介護のために息子が会社を辞める……これまでの日本のサラリーマンでは絶対に考えられないことが、今は当たり前になりつつある。そんな時代に、自分の人生を狂わせることなく親の老い、さらには介護を行う考え方を紹介している。

書評

現代の日本にとって医療よりも介護の方が崩壊の深刻度は高いという。介護うつは10万人を超え、介護を理由とした離職は年間15万人を超える。それでも介護できる家族は減り、「老老介護」という言葉が関心を集めている。介護ができる家族がいない、老老介護で支えようにも支え手がいない。どうにもならない現実が目の前に迫っているのが今の日本の現状だという。

筆者はこうした喫緊の課題を解決する解決法は、介護施設の拡充しかないという。だが、政府は在宅介護を重視している。この政策は、ドラスティックに少子化が進む日本では今後難しくなるだろうと筆者は語る。しかも働く女性の増加により、介護を女性が引き受けることも難しくなる。介護のために仕事を辞めたくない、辞められない女性が増えていくのだ。だからこそ、介護保険を使って存分に権利を行使することが大切なのだが、施設が足りず、満足なサービスを受けられないケースも出てきている。

一人で抱え込まずに、頼れるものはなんでも頼る。この姿勢こそが人生を狂わせることなく、親の「老い」につき合う最善の方法であることを本書は教えてくれる。

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