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介護の本書評「review-kaigo」

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第59回 老人介護 常識の誤り

介護の現実を知る筆者が教える、必要で大切なこと!

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老人介護 常識の誤り (新潮文庫)
三好 春樹

内容

筆者自身が「新しい介護への入門書」と語る本書。具体性のない理論だけでは、介護というリアルな世界では全く通用しないということ。逆に具体的方法論だけで理念や意味を伴わない介護は、ただの「作業」になってしまうということも書かれている。本書は考え方と方法論の両方を一冊の本にしたまさに「新しい介護書」だ。

書評

本来、人間には「元気」な状態と「病気」の状態しかなかったが、寿命が延びるに従い、「老い」と共に生活する人が増えた。この、いわゆる「老人」と呼ばれる人は「元気」でも「病気」でもない状態だ。この人たちにとっては、医療も看護も無力だ。

そこに「介護」が登場した。介護とは単に高齢者の数が増えたから必要とされるようになったのではなくて、人間が抱える問題が多様化、個別化した現代に、それらのニーズに応える為に必要とされているのだと筆者は語る。そのため、介護に必要なのは、異なる個別の状態を把握し、個別のニーズを掴んで個別のアプローチを作り出していくことなのだという。

本書では、こうした理念的な部分に加えて、『「体を密着して」は間違い』や『寝返りができないはずはない』『起きあがりができれば寝たきり脱出』など、これまでの介護で考えられてきた常識を根底から覆すような見出しが続々と並ぶ。図や写真がモノクロで少ないため、多少わかりにくいが、現在介護をしている人も含めて、日々の介護のヒントをたくさん見つけることができる一冊だと思う。

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