介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

戻る

第218回 最初のグループホームでのタクさん(2007年3月24日)

以前にも何度も書きましたが、私はタクさんの元へ通い介護。
父と同居の弟は心身の疲労が限界であったことなどから、申し込んだ特養の順番が来るまで(いつ順番がくるかわからないので)、父にグループホームで過ごしてもらうことになりました。
タクさんはグループホームAに2003年5月中旬に入居しましたが、ここはタクさんに合わず、1カ月半で退去することになります。
ここは空き室募集を知り、友人と一緒に見学し申し込み、友人は別のグループホームに入居が決まり辞退したため、すぐタクさんの番が回ってきました。
このホームを見学した時点で以前にも書きましたが、次のような点がわかっていました。

【このホームの良い点】
◆空き室有りで待機順位1番のため、すぐに入居できる。
◆病院併設の安心感。(いわゆる老人病院で長期療養病床があった)
◆併設病院に通院するなら、家族の付き添いがいらない。
◆デイ併設で参加ができる。(グループホームと同じ建物の1階)
◆1年前オープンのため施設が新しく居室は綺麗で広さが程良く、最低限の家具も用意されている。
◆グループホームとは言え、内容的に特養と同じだったため、認知症が進んでいたタクさんには通常のグループホームよりも、特養のような形態の方が良いと思えた。

【このホームの不満点】
◆食堂がかなり狭くて、リビング兼食堂のような形を取っていないこと。
◆廊下を挟み両側に居室があるため、廊下が狭く、暗い感じ。
◆リビングがなくて、リビングの代わりになるものはデイのスペースになる。
◆妙に男性職員が多い。

長短両所あって迷いましたが、すぐに入居できることと、年齢的に当時82歳だったタクさんの先々の健康のことも考え、病院併設のこのグループホームAに入居しました。
要介護4。認知症発症10年の頃でした。
私の家から自転車で25分位の距離で、アルバイトを終えたあと、週2回位の割でタクさんの元へ通いました。
父は在宅の頃と別段変わりはありませんでした。
デイに参加して風船バレーをやったり、問題なく過ごしていたようです。
訪問歯科の検診も、皆と一緒のせいか、私も一度見ましたが、あまり嫌がらずに看てもらっていました。
この頃のタクさんは、体はとても元気で遠くまでお散歩もできました。
私が行くたびに、タクさんの脚で徒歩15分位かかる近くの全国チェーンのショッピングセンターまで一緒にお散歩をしました。
気候が良い5月で、道端の花を眺めながら、一緒のお散歩は楽しかったです。
ショッピングセンターでは、父とお店を見て回ったり、喫茶コーナーで父の好きなあんこが入った大判焼きを食べたりして休憩。
帰り道もおしゃべりしながらタクさんは元気良く歩きました。
本当に楽しい散歩を何度もしました。

父はこの頃、認知症が進んだとは言え、まだしっかりしている面も時々ありました。
「この頃、若い男が手伝いにくるんだけど、若い男は何をするかわかったもんじゃないから、言いたいことがあっても怖くて何も言えないんだよ」
父は居室でおしゃべりする時、何度かそう言っていました。
それ以外は「ここは良いねぇ。静かだし」と、静かな環境が好きな父のお決まりの言葉を言っていました。
私が持ってきた甘いおやつを美味しいと言って、いつもよく食べました。
父はそれまでのデイやショートなどの経験から、若い男性職員が多い施設(普通女性職員の方が多い)の経験があまりないせいか、若い男性は力もありそうで怖く感じているようでした。
私が知る限り、女性職員は施設長の女性と、若い女性職員が一人だけでした。
しかも、この若い女性職員が新人なのか無口で暗くて、とても役に立たない人でした。
職員が妙に偏っていることが気になります。何かあるのかと勘ぐりたくなります。
私が来ない時間でデイ参加などがない暇な時間は、ホームの廊下を他の入居者さんとウロウロ徘徊していることが多かったようです。
そして、外への徘徊防止のため、グループホームとデイのスペースを仕切るドアに鍵が掛けられていました。
面会の時は、その鍵を開けてもらって面会するのです。
面会に行って初めて知ったことです。
見学の時は、施設側は都合の悪いことは見せないし、わざわざ言わないものです。

「ここの扉は鍵がかかっていて外に出られないのよ。鍵を開けてちょうだい!!」
「この扉は開かないのよ!!開けて!!」と言っている入居者。
父も「何でかな~?ここは開かないんだよ」と。
「○○室と書いてあるなぁ??」と、当時字がまだ読めた父は掲げてあるものを読んで、出られないドアの前で疑問に思っていました。
入居者は皆、ドアの前へ集まって外へ出たがっていました。
徘徊防止のため、外へ出る玄関に鍵を掛けるのなら理解できますが、上記の位置に鍵を掛けてしまうのは、かなり疑問でした。
グループホームのスペースは狭いため、このドアを締め切りにして鍵を掛けると閉じ込められたような形になります。
ここの食堂は狭いので、食堂で日中過ごす人は誰もいません。
認知症の元気な人は、自室があっても通常は自室にこもることはありません。
ほとんどの人は自室を出てウロウロしたり、リビングやそれに代わる広いスペースで過ごすのが、どの施設を見ても日常的なことでした。
このグループホームには広いスペースはデイサービスのスペースしかありません。
そこへ繋がるドアに常時鍵を掛けてしまうと、行き場を失います。
しかも、私が面会に行く時間には職員さんが誰もいないことも多かった。
職員さんの手が足りないから、徘徊して外へ出ないよう鍵を掛けるのでしょう。
施設のやり方に相当問題有りと感じました。

この件について施設側に話しを伺いましたが、徘徊による危険防止策だと言われました。
特にドアの鍵掛けで閉じ込め状態になるのは納得できませんでした。
この施設は問題だな…私のその思いは面会に行くたびに膨らんで行きました。
最初に短所と思っていた面は、やはり短所でした。

親ケア.comオンラインサービス「繋がる」
おやろぐ