介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第203回 特養に早く入居するコツ(2007年3月4日)

特養(特別養護老人ホーム)とは、正式には「介護老人福祉施設」とも言います。
老人福祉法に基いた施設なのです。
過去にカテゴリー「老健とは?」に一見似ている老健との違いを書きました。

入所基準
大変間違いやすいこととして、「要介護状態が進んでしまい、在宅で手に負えなくなったから」入所させる所と思われますが、そうではないのです。
「在宅介護が難しい状態にある方」を入所して看て頂く施設なのです。

在宅介護が難しい状態とは?
・介護者が居ない身寄りがない方。
・自宅がない、あるいは失う可能性があり、介護の場所がない場合。
・住む家はあっても、被介護者に合わせて改良改築ができず、在宅が難しい場合。
・介護者が一人しかいない場合。
・老老介護の場合。
・老老介護者も要介護状態にある場合。
・介護者の心身状態が良くない場合。
・様々な手段で在宅介護で頑張っていても、限界がきている場合。
これは私が思いついたものを挙げたまでで、まだあるかもしれません。

このように、主に介護者の不都合による場合がほとんどです。
これらのことを基準に入所を決めるようです。
被介護者の要介護度も最近は「4~5度」と大体の基準があるようですが、場合によっては介護度ではなく、上記のような事情が優先されます。
それプラス、同じような状況であれば、先に申し込んだ方が優先されます。

要介護度とは?
これまた誤解されやすいこととして、要介護度とは、介護する場合、いかに手が掛かるか?の基準です。
心身状態そのものの基準ではないのです。
でも、たいていの場合、心身状態がよくなければ、介護に手がかかることがほとんどです。
要介護5だから、要介護4の人より何もできないのではなく、場合によっては要介護4よりできたりわかる場合はあるかもしれませんが、
介護に多くの手が必要だということを表わしているのです。

特養の申し込みに際して
私や父の市では、入りたい特養に直接申し込めば良いのですが、そうではない行政もあるようです。
申し込んでも、行政内の施設の空き状態などによって振り分けられるので、どの特養になるかわからない場合などもあるようです。
できれば介護者の身近で良い施設に当たれば良いのですが、その自由が効かないこともあるようで、その場合は厳しいですね。

特養に申し込みしてから
申し込み手続きは簡単ですが、申し込んでそのまま黙っていたのでは、いつ順番が来るかわかったものじゃありません。
それでも良い方は、それでじっと待ちましょう。
早く順番が来て欲しい方は、それなりのことが必要です。

特養に早めに入れたタクさんの場合
これは、狙ってそうしたのではなく、色々と介護サービスを利用して工夫したことが、結果的に入所が早くなっただけなのです。申し込んでから入居まで約2年でした。
特養入所直前にグループホームにいましたが、これは特養入所の待機のためであったので、施設にいても在宅同様の扱いとなりました。

タクさんの入所が早まった理由は??
・通い介護で二人しかいない介護者の一方の心身状態が良くなく、在宅介護継続が難しくなった。
・絶えず介護者が付いていなければならないため、要介護度の限度額を超える程、各種介護サービスを利用した。
・限度額を超え、父の年金額を超える程、毎月介護費用がかかっていた。
・これらの介護の費用の負担、介護サービスの利用状況を入所判定会議で何度も取り上げられ、介護内容、緊迫した介護環境を認められ、優先的に順番が繰り上がった。

これらに加え、ケアマネさんの存在も大きかった。
・ケアマネさんがタクさんの通うデイ、ショート、特養の法人のベテランケアマネさんだった。
・上記の理由から、特養入所判定会議に必ず出席されてタクさんのことを訴え、私達介護者と判定会議との架け橋になってもらえた。
・時々、ケアマネさんから特養入所に対する気持ちを確認された。「まだ頑張れるか?もうギリギリか?」と。
その時、やせ我慢せず「もうギリギリです(特に弟が)」と答えていた。
・特養の順番待ち状況を具体的に折に触れ教えてくださった。

タクさんがラッキーだったこと
・入所順番は部屋割りの関係から、男女の性別にも関係する。父のユニット型特養では個室ですが、男女隣同士の部屋を当てない原則などがあり、男性部屋が空けば男性が入れることなどで順番が違ってくること。
・女性入所者の方が圧倒的に多いし、待機者も女性が圧倒的に多いので、上記の理由で少ない男性待機者として逆に幸いした。
・父の特養は原則同じ市内に住む者が優先されるが、その分待機者が相当多い。
隣接の父の市の住民に限っては特別枠があり、特別枠の方が数が少ないが、かえって待機者が少ないため入所が早まる可能性があった。

特養入所に関するまとめ。
・申し込んだまま、じっとしていては順番はなかなか来ない。
・原則として、在宅介護をしっかりやっているのに限界がある必要性。
・入所申し込みをしてから、入所がどれだけ必要か施設や入所判定会議にアピールすること。
・介護サービスの内容等で、在宅介護を懸命にしていることを具体的にわかってもらうこと。
・ショートステイはできるだけ申し込んだ特養のショートを利用すること。
・上記のことをアピールできるケアマネの存在。できなれば自分で施設に訴える。
・入所したい特養法人のケアマネであれば、上記のことを実現しやすい。

これらについては、私の経験とケアマネさんの話からわかったことです。
以前、ネット上のどこかのサイトで、特養に入る方法として、私と同様なことが書かれているのを見た覚えがありました。
また、これは父の特養がある市で言えることで、別の行政では多少異なることもあるかもしれません。

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