介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

戻る

第194回 イズさんのカラオケ、その後(2007年2月21日)

今週の日曜日にイズさんの有料老人ホームへ行ってきました。
イズさんが人生を楽しみ、生き甲斐?の一つになって欲しいカラオケを、一緒に楽しもうと今回も張り切って行きました。
しかし、最近私がいない時には、イズさんはカラオケに参加していないようです。
なぜなら、前にも書きましたが、イノシシ年のうるさい女性がいて、イズさんだけでなく、皆が楽しんでいるカラオケを台無しにしてしまい面白くないからだそうです。
あんな人は大嫌いだ、デリカシーがないなど、イズさんの不満を洗いざらい今回も聞きました。

「でもね、あの方は歌が好きで皆と一緒に歌いたいんだと思いますよ~。
人に歌え!だとか早くしろ!とか色々言うのに自分では歌わないのは、歌の題名を覚えてなかったり、カラオケの歌本の見方がわからなかったり、字が小さくて読めなかったりして、カラオケの利用の仕方がわからないからよ。わからない部分をを手伝ってくれる人が誰もいないから、そういう言い方になるんじゃないのかな~?その人の身になって考えてみましょうよ♪」
「そうかな~?」
「その方のそういう所を補助してあげれば、うまくいくと思いますよ~」
「そんなこと誰もできないよ」
「できるかどうか、やってみなくちゃわからないでしょ?やらないでいて、できないと思っているのはどうかな?そういう時、職員さんはそばにいてどうしてるの?」
「何もしていないよ」
「じゃあ、私がいる時だけでも、皆が楽しくカラオケ出来るようにうまく立ち回ってあげるから♪」
「そんなことできるわけないじゃない!!そんなことしなくていいよ」
「だって、そうしないとイズさんはあの方がいつもいるからカラオケしたくないんでしょ?」
「しなくたっていい!!」
「でも、それじゃあカラオケできなくてつまらないじゃない♪私がいる時ぐらい楽しくやってみましょうよ♪
それに、あの方が来ないかもしれないし。やって見なくちゃわからない~♪
私が上手くやるから、一緒にカラオケしましょうよ!!」

ここまでの展開は、前回までとほぼ同じです。
だいぶ省略して書きましたが、イズさんとのやり取りから、一方的で前向きじゃない考え方がよくわかります。
私の提案などは、ことごとく否定されます。
新しい提案を受け入れようとしないところは、認知症の人と同じです。
前からいつも思っていますが、認知症でないけれど、対応は認知症と同じにしないとイケナイな~と、つくづく思います。
でも、私もなかなかそれができません。
さすがにイズさんの頑固さに、私も頭の中の血が上りますが、押さえて押さえて、顔には出さないように…(苦笑)
私までムキになってイズさんと張り合っていたら、イズさんと同レベル。
つまり介護していることにならないじゃありませんか!
だから、できるだけ抑えて冷静になって話をしようと努力します。
イズさんの息子達は、そんなイズさんと話するのも厄介なので、話をしないのです。

さて、この日のカラオケは…。
いつものメンバーが揃いました。
でも、イノシシ年の女性は少し離れた席にいました。
いつも笑顔で「この歌初めて聴いた!」とおっしゃる女性が「私と一緒に座りましょう♪」とイノシシ年の方に声を掛け、少し離れた席に座ったお陰で大人しかったのです。
私としては、かなり拍子抜けしました(苦笑)
「この歌初めて聴いた」さんに感謝です。
お陰でイズさんは嫌な思いをせずにカラオケを楽しめたようです。
でも、このカラオケにはイズさんが二つ目のレパートリーにしようと思っていた「いつでも夢を」は入っていませんでした。
残念です。何か別の曲を探さなくては!!
イズさん、歌本の曲をよく見てから、ある曲の中からレパートリーを決めてくれないと…。
そして、この日夕食がテーブルに並ぶのを見て帰ろうとしたら、ホーム長さんが今回もまた私に夕食を用意してくださったのです。
もう何度も無料にて夕食を頂いています。
カラオケのお礼の意味もあるのでしょう。
いつも私ばかりして頂いて…感謝です。
イズさんとお話ししながら夕食を頂きました。

帰る時、ホームの玄関で職員さん方に挨拶をして出ようとしたら、あのイノシシ年の女性がするり!さささっ!と開いたドアから一瞬のうちに外へ出てしまいました。
普通はパスワードを入れないと出られないドアなのです。
ホーム長さんが一緒に寒い外に出て、やんわり戻るよう話をしています。
私は「寒いから早く戻った方がいいですよ~♪」と声を掛けて帰ります。
少し歩いたところで、「気をつけて帰ってね~♪気をつけるんだよ~♪」と、立ち去る私に笑顔で大きく手を振っておられます。
私も「ありがとう~♪寒いから早く部屋へ戻ってくださいね~♪」と大きな声で答えました。
イノシシ年の女性に、笑顔でお見送りして頂きました♪
少し認知症があるようです。
何と言う、楽しいお見送り!!嬉しかったな~♪
両母は早く亡くなり、父は長年の認知症で最近はこんなことできなかった。
まともな方の義父は男だからこんなことしてくれません。
私は人にお見送りすることはあっても、こんなに温かいお見送りを、誰にも長いことしてもらったことがありませんでした。
良い日でした~♪

親ケア.comオンラインサービス「繋がる」
おやろぐ