介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第183回 カラオケに見るじいさん事情(2007年2月9日)

今週の日曜日にイズさんの有料老人ホームへ行った時、いつものようにカラオケもしました。
私が来ない日にも職員さんとカラオケをしたこともあったようですが、イズさんの話によると、「○○くんは、司会が下手なんだよ」と、職員さんに不満げ。
「えすえさんみたいだといいんだけどね~」と。
今回のホームの食堂でのカラオケは、さて??

今回はちょっと様子が違いました。
お馴染みの顔ぶれの中に、私には初顔の女性がいました。
とても元気が良い方で「ひばりはないの~?ひばりがいいな~♪」とおっしゃって、美空ひばりさん好きな方。
江利チエミさんの「さのさ」もカラオケなしで上手に口ずさまれました。
とても上手だったので褒めると、照れながらも喜んでおられました。
また、威勢が良い方なので、「どんどん入れて(歌の番号を入力して)歌っちゃわないともったいないね~」と、おっしゃって積極的。
「でも、これはタダだからいいよね~♪」とも。
「私は年女でイノシシだから、猪突猛進なのよ!」とおっしゃる。
私が歌番号を入力したり、イズさんがしたり、適当に交代で入力していました。
イズさんは、入力係をしている時は少し誇らしげです。
「何歌うか言ってね~、言ってくれなきゃわからないよ~」と、先生のようです。
でも、イズさんには皆の様子が読めません。
皆さんには、番号が書いてある歌本の文字が小さくて読みにくいし、歌の題名を覚えていなかったりで、皆、歌の番号も題名も言えないのです。
何でもいいから、知ってる曲を入力してもらって、早く歌いたいのが皆さんの本音。
ところが、イズさんは主導権を握っている割には、その采配がありません。
その間を埋めるのが私の役割。
「早く、どんどん入れなきゃダメよ」と、おっしゃるこのタイプの女性は、イズさん苦手と見えます。
特にイズさんが歌番号を入力する主導権を握っている時にそばで言われると、だんだん眉が吊り上がってくるのがわかりました。
「今、曲を選んでいるところなんだから!そんなに色々言ったって、そう簡単にはできないよ!」と、イズさんは、やんわり返せず、ムキになってしまいます。
私も、そんな時は多少フォローした言葉掛けはします。
しかし…。
いくら歌っても得点は伸びないし、得意な「東京ラプソディ」は入ってないし、このうるさいばあさんがそばで色々言うし、面白くない!!
そんな風にイズさんは思ったかもしれません。
そのうち、急に席を立ってしまいました。
トイレかな??
私は残る皆さんと楽しくカラオケを続けていました。
イズさんのことが気になりながら。
しばらくして、食堂の離れた所にイズさんが戻ってくるのが見えたので、こちらに来るように大きく手招きしました。
でも、イズさんはこちらをチラッと見ただけで戻ってきません。
結局、その日は、その後イズさんは一緒にカラオケはしませんでした。

私がイズさんのそばまで行って、呼び戻せば良かったかな?
でも、呼び戻しても、うるさ型の女性陣と一緒にするのは嫌だったかも?
他の男性陣は、声をかけても、女性陣が多いので、遠慮してカラオケはしないし…。
イズさんに花を持たせても、人に何か言われるのをうるさく感じ、軽く対応できないイズさん。
でも、主導権は握りたい。
歌も上手く歌いたい、でも、好きな歌が入ってない。
今回は、イズさんのご機嫌を損ねることが色々有り過ぎました。
私も楽しそうにやっていますが、皆さんの様子を見ながら気を遣います。
私にとっては、そういう気遣いも楽しいことの一つです。
でも、イズさんには、男としてのプライドが先立ち、気持ちの余裕がありません。
だからと言って、私とイズさんだけのカラオケでは、こんなに楽しくできません。
まるで子供のお守りをしている気分です(苦笑)
今回のカラオケは、以前書いた「おじいさんと、おばあさん介護の違い」を表わした一件でもありました。

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