介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第44回 イズさんの改革(2006年8月28日)

8/27(日)タクさんが入院する病院へ行き、それなりに元気なタクさんとおしゃべりしてからイズさんの老健へ。
イズさんの打ち明け話を聞きました。

最近、申し込んである次の老健からまだ連絡はないか?とイズさんによく聞かれますが、6月に申し込んでからまだ何とも連絡なしなんです。
「今いる老健の方がいいんだから、連絡なくてもいいじゃないの♪」と私はよく言うのですが、「遅いね~」となぜか待ちわびているかのようなイズさん。

以前も書きましたが、今の老健から出るように言われていて、次の老健に入れるまではいられることになっています。
標準3カ月期限の老健ですが、イズさんはもう1年もいるので。(その間、2回入院があったため)

夕食後の食堂の端にあるソファでイズさんとしばらく話しました。
以前、食堂の各テーブルの上に広告紙を折って作った紙箱が置いてありました。

イズさんの亡くなった妻(私の義母)もよく作っていた紙箱で、私も作り方を教えてもらったことがあって懐かしく思っていたのでした。
その紙箱が今はほとんど置いてないことについてイズさんは語りました。

その紙箱は義母は小物入れにしていましたが、イズさんの話によるとこの老健ではちょっとしたゴミ入れにしていたらしいのです。
主に入所者が食後飲んだ薬の袋を捨てるために用意してあったらしいのですが、その紙箱撤去運動に一年を費やしたとイズさんは熱く力説しました。

テーブルの紙箱に皆が薬袋を捨てて、いつまでもそのままにしているのが見苦しくて不満だったようです。
(そんなに見苦しくなかったけどね)
イズさんはそれが嫌なので紙箱には捨てないで、自分の食器トレーに使用済み薬袋を乗せて食器と一緒に返却していたそうです。
職員さんに紙箱を置かないよう話してもなかなか撤去せず、紙箱をせっせと作っている入所者女性もいたそうです。
(紙箱を折るのもリハビリの一つなのに)

紙箱にたまったゴミ(主に薬袋)は誰が片付ける訳でもなく置いてあったので、テーブルの女性入居者の方々に「貴女片付けないの?!」と尋ねても、皆それには無関心で、一部の男性入所者はイズさんの考えと同じだったとか。
(そんなに気になったら、元気なイズさんが片付け役をすればいいのに。進んで床の掃き掃除している女性入所者もいるくらいなんだから)

あるとき、監査(何の監査だか?)が入るときがあって、その時は急に職員さんが紙箱を片付けたそうで…。
それ以前からイズさんは職員さんに抗議していても取り合ってくれなかったそうです。
(そりゃそうです)

「なんだ!そんなときだけ片付けて!置いてあることが良くないんだから、全部のテーブルの紙箱を撤去してくれ」と抗議し、やっとほぼ全廃(一部まだ置いてある)になるまで1年もかかった…ということです。
(ゴミ箱まで行くのが大変な人だっていて、手の届くテーブルに紙箱のゴミ捨てがあって助かる人もいるだろうに)
(公園のゴミ箱撤去みたい。何だかイズさん市民運動家みたいだ)

うるさい爺さんだと職員さんにきっと嫌われたに違いないので、ここには居ずらいので早く次の老健に移りたいんだそうです。
それで、次の老健のお呼びはまだかと気になってたんだそうです。

う~む、私には何とも身勝手なイズさんの自己中心的な考え方としか思えない出来事ですが、以前ヘルパー講習の初日に習った「傾聴」ということで、聞くことに徹しました。

「お義父さんスゴイね。学級委員長みたいじゃない!家に居たらそういった人との煩わしい出来事や気を遣う必要はないけど、ここでそういうことを経験するのはボケなくて良いんじゃないの?!」と私が言うと、「まぁ、そうだね」と「学級委員長」が効いたのかかなり興奮していましたが、何とか気持ちが収まったイズさん。

紙箱撤去運動に1年もかけるんだったら、ご自分の身の回りの雑多をどうにかしてほしいです。
1年も入所していると、見事、自宅にいたときと同じ状態になっています。

ゴミは傍のゴミ箱に捨てないし、公衆電話用の小銭(一応金銭持込不可だけど)はあちこち散らかしっぱなし。
持ち込み不可のハサミは先が開いたまま、目に付くとこにいつも置いてあるし。(何かと危ないなぁ)
最初は行く度に片付けたけれど、「見張られているみたいで嫌だ」と言われてからは見て見ない振りしています。

イズさんのいるフロアは車椅子の方が半分以上はおられますが、認知症の方はほとんどどおられないフロアです。
そのうち男性入居者は4分の1位。イズさんは数少ない殆ど何ともなく元気に見える部類です。
一応何でも出来るイズさんから見ると、まだるっこいことばかりで不満が色々あるようです。
でも、ここは老健。要介護のお年寄りが居る場所だということをイズさんはお忘れのようで…。

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