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社会福祉士たにこが行く

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【第370回】言いたいけど言えない(2011年2月19日)

施設入所中のAさんに面会に行きました。

フロアで、リクライニングの車いすでテレビをご覧になっていました。でもその姿勢が、どう見ても下にずっていて首のあたりが苦しそう。かといって、私一人では戻せないし(大きい方なので2人介助)、勝手にカラダにさわって支障があっても困るし…。スタッフさんに言おうかなと思ったけど、たまにしか来ない私が、面会に来た途端「姿勢を適切に」なんて言うのもなんだか印象悪いかなぁ。

いやいや、そんな私に対する印象よりも、Aさんの姿勢の方が大事。あ~、誰かAさんのこの不自然な苦しそうな姿勢に気付いてほしい。周りにいるスタッフの方2名は、一心不乱に床のモップがけをしている。この人たちはお掃除専門の人…?いや、でもだからと言って、利用者さんの様子に目もくれないというのはいかがなものかと…。

…と逡巡していると、入浴介助が終わって浴室からでてきたスタッフさんが、「あら~Aさん、しんどそう。ごめんなさいね」と、すぐに、モップがけ中のスタッフさんに声をかけて2人で姿勢を戻してくれました。気付いてくれて良かった…。

で、えーっと、つまり、モップ掛けをしていたスタッフの人は、指示によりお仕事をしているわけですね。「モップを」と言われればモップ掛けを、「介助を」と言われれば介助をするわけなのですね。それで良いのですか?なんだか言いたいことはいっぱいあるんだけど、それを伝えるのもはばかられてしまって。私でさえこんな気持ちなのだから、ご家族さんは、きっともっと「お世話になってるんだし…」と遠慮されてるのでしょうね。

言いたいけど言えない気持ち、ちょっぴり判ったような気がします。遠慮は無用!こちらから声を上げることで介護の質も上がる!…そう思ってはいるのですけどね。

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