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介護の本書評「review-kaigo」

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第274回 認知症のBPSD解決法

行動には理由がある。理由を知り解決法を学ぶ。

認知症のBPSD解決法 (安心介護ハンドブック)

認知症のBPSD解決法 (安心介護ハンドブック)
平野 亨子

ひかりのくに 2018-03-05

内容

BPSDとは、認知症の行動・心理症状のことで、以前は『問題行動』と呼ばれていたものを指す。介護者側のBPSDにタイする向き合い方ひとつで、BPSD症状を軽減することができるという。本書では解決のための基本姿勢や正しいBPSDの知識を学ぶことができる。

書評

本書がターゲットとするのは、介護現場で認知症の方の対応の中でも、特にBPSDへの対応で困っている方。認知症介護は大変難しい、と筆者。だからこそ場当たり的な対応に終始するのではなく、勉強して知識に基づいた介護が必要となるのだという。人は二人として同じ人間はいない。ということは同じ性格の人もおらず、一人ひとりの人生も異なる。同様に介護の方法も一人ひとり異なる。認知症患者に対する正しい対処法は、その人の心の中にある。そしてそれを引き出すのは、この本を読もうと考えるあなた自身である、と筆者。

認知症患者に対して「認知症だから」というレッテルを貼り、人ではなく症状に目がいってしまっていると、いつまで経っても解決法は見えてこない。患者本人の人となりに視点を移すことが大切だ、と本書は伝えている。だが、今目の前の困りごとを解決することも急務だ。本書ではその部分にもスポットを当て、認知症ケアのプロフェッショナルが、まずやってみること、そのバリエーションを「まずの対応例」として紹介している。もちろん、それらのBPSDが起こった理由と対策についてもきちんと紹介されている。

本書で伝えられているのは、具体的にどうすれば良いのかという考え方や方法。一つひとつ実践していけば、認知症患者の方の笑顔を取り戻すことができるだろう。今困っている介護職の方々が本書を読めば、明日からやってみようと思えることがひとつは見つかるのではないだろうか。そんな糸口がたくさん散りばめられているように感じた。

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