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介護の本書評「review-kaigo」

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第234回 介護ビジネスの罠

悪徳業者の悪質手口を徹底解剖!

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介護ビジネスの罠 (講談社現代新書)
長岡 美代

内容

「24時間、365日対応は要注意」、「格安老人ホームのからくり」あなど、高齢者を儲けの道具と考える不届きな事業者が闊歩する介護業界。そんな悪徳業者の手の内を筆者が徹底的に調べて紹介。介護で騙されない、損しないための必読書。

書評

介護保険制度は自治体の措置で提供されていた介護サービスを民間に開放することで選択肢を飛躍的に増やすとともに、市場原理による悪質業者の淘汰が起こるはずだった。しかしながら実態は、胃ろうアパートのような高齢者を食い物にするような業者がのうのうと事業を継続しているのが現実だ。

本書では、悪徳事業者がよく使う不正の手口や最新動向を紹介しながら、事業者が何を考え、精度のどこに問題があるのかを鋭く追求する。第一章では、「サービス付き高齢者向け住宅」で横行する囲い込みとSれに世って起こる不正や悪徳ケアの実態に迫る。第二章では、患者紹介ビジネスに振り回された現場の様子をレポート、第三章では、「シニアマンション」と称して運営される無届けの「老人ホームもどき」の実態に迫っている。第四章では、胃ろうアパートの狡猾な手口を、第五章では、平穏死や尊厳死の扱い方の難しさを取り上げている。

介護保険が始まったことにより、介護は福祉からビジネスに転換することになった。介護サービスには,少なからず福祉的な要素が必要になるが、現状は利益が最優先され、福祉的な視点が欠如した事業者がのさばっている。いかにして儲けるかの視点しか持たない事業者は、あの手この手で高齢者を狙う。その罠は巧妙で、引っかかった本人すら騙されたことに気づかずに過ごしていることが多い。知らぬ間に被害に遭うことがないよう、本書で悪徳業者の手口を学んでおくことは自衛手段の一つになるかもしれない。

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