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介護の本書評「review-kaigo」

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第187回 ルポ 介護独身

非婚や少子高齢化で生まれた新たな社会問題。

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ルポ 介護独身(新潮新書)
山村 基毅

内容

非婚や少子高齢化が同時進行する日本で「介護独身」と呼ばれる人々が着実に増えている。他に家庭を持つ兄弟はアテにならず、何でも一人になれているが故に介護も一人で抱え込んでしまうのだ。孤立と非理解の中で身動きが取れなくなりつつある人々を自身も介護問題に直面するルポライターが向き合う。

書評

自分のことだけを考えていれば良かった生活に、ある日突然親の介護が立ちはだかる。独身者による「シングル介護」は、非婚、晩婚、少子高齢化の同時進行により、着実に増えている。しかも介護保険により介護予防、在宅介護を後押しする流れが、「シングル介護」をより増加に導いている。そしてこのシングル介護は介護者である独身者の心身を蝕んでいく。しかも、シングル介護する人たちは、介護を一人で抱え込まなければならないケースがほとんどだ。これが介護が内包する暗鬱たる気分をさらに増幅させる。

「すべての決断を自分がしなくてはならない」ことが悩みであり、苦痛なのだ。だからこそ、公的サービスが充実し、相談に乗ってくれるケアマネージャーや公的機関のサービスが充実しても、常に孤立感に苛まれてしまう。周囲の人の有無は関係ない。優しく手を差しのべられてもらえばもらうほど、孤立した感覚が深まっていく。

超高齢化社会の到来とともに、介護そのものが「他人ごと」ではなくなり、若い世代や中高年のみならず、すでに老いた者までもを「老老介護」の名の下に足をすくわれる可能性を秘めている。要は、老若男女問わず、誰も彼もが介護とは無縁に生きていくことはできないのだ。
その中でも独身者が親の介護に従事するケースには特殊なくさびが存在するという。これに対する有効な処方箋は今の所どのような期間、個人からも出されていないのが現実だ。

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