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介護の本書評「review-kaigo」

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第184回 親が70歳を過ぎたら読む本

親に何かあったら、あなたの生活はどうなる?

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親が70歳を過ぎたら読む本
村田 裕之

内容

40歳代、50歳代は世話をしなければならない老親と養育義務のある子どもに「挟まれた世代」という意味だそうだ。本書には、多くの悩みを抱えながら頑張る40歳代、50歳代に向けて、「高齢期の親に関する諸問題」に起因するトラブルを未然に防ぎ、仮にトラブルが起きたとしてもそのダメージを最小限に食い止めるための「対処法」が記されている。

書評

日本人の死亡者の75%は70歳以上であることをご存じだろうか。だが、70歳を過ぎると病位による入院、認知症の発症、介護の必要性が増え、死亡の確率も高くなる。その結果、老人ホーム弥介護施設探し、死去による遺産相続などに伴う問題が起きやすくなるのだ。

つまり、「高齢期の親に関わる問題」は、親だけの問題ではなく、多くは子どもである「現役世代とその家族」の問題になる。認知症が進行した母の介護に、子どもである息子が多くの時間や精神的エネルギーを割かざるを得なくなるのだ。また、それ以上に息子の奥さんの肉体的、精神的負担が家庭を脅かすようになる。ここに相続が加われば、経済的負担のみならず、親族間の絆も壊れ、精神的なダメージを被ることもある。だが、こうしたトラブルは事前に手を打っておけばある程度予防でき、仮にトラブルが起こってもダメージを最小限にする方法もある。だが、40歳代、50歳代の現役世代の人々は、とても忙しく、一般的にこれらの諸問題についての知識や理解が乏しいのが現状だ。自分の親に何かが起こって、初めてその対処に着手する人がほとんどなのだ。

子どもから大人になる成長期には、必要な基礎知識を身に付ける教育の場が整備されている。だが、成人から中高年への成熟期には、自分の生活防衛の知識やより良い後半生を過ごすための対処法を見つけるための教育の場はほとんどない。独力で学ぶ意外方法がないのが現実だ。
本書は個別テーマにおける専門書ではない。あくまで様々な諸問題に起因するトラブルを未然に防ぎ、トラブルが発生しても、そのダメージを最小限に食い止めるための対処法が記されているに過ぎない。そのため専門的な内容を知りたい場合は、他の専門書を読まれることをお勧めする。良好な親族関係と親子の絆を構築するための「新しい生活常識」として役立つ一冊となるだろう。

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