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介護の本書評「review-kaigo」

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第160回 離れて暮らす親に元気でいてもらう本

子どもが親の介護前にできることはたくさんある!

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離れて暮らす親に元気でいてもらう本
田中 元

内容

離れて暮らす親に「介護」が必要になる時代。子どもはどう対処するべきなのか。これは現代の日本人にとって、不可欠な検討事項と言えます。本書は、郎親の介護が必要になる前に、子どもができることはたくさんあるという。実際に何ができるのか、たくさんのヒントが掲載されている。

書評

日本の高齢化率の高さは大きな問題になりつつある。だが、さらに問題なのが、高齢者のひとり暮らし、あるいは高齢者夫婦のみの世帯が増えていること。2010年現在、65歳以上の高齢者がいる世帯で、ひとり暮らしが25%近く、夫婦のみが30%近い数字となっている。つまり、半分以上が子どもが離れて暮らしているということになる。子どもは親の介護を考えなければならないが、決して選択肢は広くないという。だからこそ、離れて暮らす親ができるだけ長く自立した生活を歩めるようにする条件を整えていくことが大切だと本書は伝えている。『依存しない緊張関係』をどう築いていくか、それが課題になる。

もうひとつは、地域の人々や社会全体が介護に関わっていくという発想。社会全体の中には当然のことながら介護保険サービスなどもあるが、社会保険財政が厳しくなる中で期待はできないと筆者は語る。地域NPOやボランティアの上手な活用が必要なのである。

本書では、それらをどう発掘し、どう活かすかについて、長年介護現場を取材してきた筆者が見聞きしたノウハウを本書に詰め込んでいる。やれる範囲で状況に応じてひとつずつ取り組んでいくことをすすめている。新しい時代の親の介護に挑戦する子どもたちの参考書になるだろう。

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