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介護の本書評「review-kaigo」

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第115回 親孝考

離れた老親を考えること=自分の人生を考えることだ!

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親孝考 ふるさとのおひとり老母を考える
村田 幸生

内容

高齢者というのは、多くの人生の分岐点をくぐり抜けてきた。途中で生涯を終えた人々の分の人生も背負って生きていると考えれば、「老いている」ということは凄いことなのだ。本書は、高齢者医療の現実を知る医者と離れた故郷に老親を抱える息子という二つの視点から、故郷、親、老後の意味について考えられた一冊。

書評

高齢者問題のことばかり考えている国は「若さを失った国」と言われる。まさに今の日本は年金問題や高齢者問題でいつも悩んでいる。

人は大体50歳前後から親の老後や介護について真剣に考えるようになるという。「自分の好きなことをやることが一番の親孝行」という言葉があるが、それに気づく頃には背負うモノが多すぎて、好きなことだけをするわけにはいかなくなっているのが現実だ、と筆者。医者として何人もの高齢者を看取ってきた経験があっても、自分の親となるとまったく状況や見方が変わってしまうことなどが率直な言葉で書き綴られている。

老いた親に親孝行として何ができるかを考えることは、自分が社会に対して行ってきたこと、これからできることを考えることでもあるという。老いた親に残された人生を大切に過ごしてもらうことを考えると同時に、多くの分岐点を経て今まで歩んできた自分の人生も振り返り、大切にするべきだと感じた。

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