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介護の本書評「review-kaigo」

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第69回 死なないで!殺さないで!生きよう!

思いとどまった介護者からの渾身のメッセージ!

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死なないで!殺さないで!生きよう!―いま、介護でいちばんつらいあなたへ
社団法人認知症の人と家族の会

内容

今、日本では介護殺人や介護心中という言葉が、新聞紙上やテレビに登場することがある。この本は、一度は介護対象を殺そうとした介護家族が、なぜ思いとどまることができたのかが赤裸々に語られている。今、極限の状態にある人々に向かって「苦しくても死なないで!殺さないで!」と語りかける渾身のメッセージ集。

書評

近年、無差別殺人が頻発しているが、それを同じように長年連れ添った家族を殺めてしまう事件も増えている。長年の介護疲れによって殺してしまうというのだ。筆者は8年間介護した経験から、その思いがわき起こることは特別なことではないという。

本書を読めば、介護者が相手を殺す事を思いとどまった理由は、人間の尊厳や生命の尊さに思いを馳せたりというものではなく、もっとシンプルだという。それが何かは本書を読めば自ずと感じることができるはずだ。

介護殺人を起こさないためには、まず介護者を孤立させないことが大切だという。同じ境遇の人々が集まる組織などに参加し、積極的に思いを話し、情報を共有することで孤独感から解放されるのだ。だが、それだけでは介護殺人は減少しない。生活の困窮という、さらに根本的な問題あがるのだ。
介護殺人や介護心中は、決して個人の問題だけではなく、社会全体として取り組まなければならない問題だと筆者は語っている。

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