良質な介護の第一歩は、正しい介護の「常識」から。
介護の大誤解!
三好 春樹
内容
老人を介護するなかで語られる「自立支援」「コミュニケーションを大切に」は、「いい介護」ではないと語る筆者。介護をする中で常識とも言える老人観や老人との関わり方、正しい介護方法などについて、世間は誤解しているという。どう誤解し、なぜ誤解するのかを明らかにすることで、「本当にいい介護」とは何かを導き出していく。
書評
介護は「心」か「技術」か……介護の世界では議論になりやすいフレーズだ。だが「心から入って技術にいたるもの、技術から入って心にいたるもの、それが介護だ」と筆者。つまり、そんなことは愚問であり、当然両方必要である、と。
いまだ、介護の現場でもこんな内容が議論されている時代だからこそ「老い」はネガティブなイメージであり、克服すべきものと思われている。そのために耳ざわりのよい言葉や、誤った常識にとらわれてしまうのだ。本書はそのような「誤った常識」について、誤っている部分とその理由がイラストとともに解説されている。
現在、介護をしている者が正しい常識に基づいて介護を行えば、介護者自身が老いたときに「老い」を受け入れられるようになる。それこそが、次の時代において、介護する側とされる側の関係をよりすばらしいものにするための大切な要素なのだと感じた。