2026年10月16日、高齢者住宅新聞社の代表取締役の網谷敏数さんと介護アドバイザー・横井孝治が対談を行いました。そのなかでも早めにお伝えしたい内容の動画を最小限の加工で公開することになったんですが、話が白熱しすぎたためか、撮影機材が熱暴走してしまい、冒頭以外は音声のみ記録されていました。
そこで緊急対応として、冒頭を動画で公開(近日公開予定)。本テーマの対談全文を、テキストで公開します。
まだ、第1部をお読みでないかたは、先にそちらをご覧ください。
>緊急対談「2027年制度改正に向けた展望と考察」第1部
住宅型有料老人ホームにおける「届出制」導入による影響は?
話のテーマをもう少し身近なところに持ってきて、高齢者住宅とか老人ホーム、介護施設に対して、どんな議論が今進んでいるか教えてもらってもいいでしょうか。
有料老人ホーム、特に住宅型有料老人ホームが増えすぎていると言われているんです。それに対してきちんと届け出をしてもらって登録制にしていこうということになっていますね。もともと介護付き有料老人ホームは許認可が必要なんで、市町村がどのぐらい供給されているかっていう状況を把握している。でも住宅型に関しては、今まで把握できてなかったんです。
いわゆるマンションとかと一緒で、事業者が建てたいと思ったら建てることができちゃう。
いわゆる外からサービスを受ける形のサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームにおける不正問題っていうのが、かなり報道で目立ってきている。それがきっかけになって、市町村も国もしっかり管理していこうっていう感じなんでしょうね。
でもルールを守ってしっかりやっているところも煽りを受けてしまう可能性があるので、そこを懸念しています。民間がやっている事業に対して、すぐに「囲い込みだ」とか「過剰なサービスだ」とか、そういうふうなことを言い立てる人も少なからずいるんですよ。
せっかく介護保険っていうのは2000年にできて、措置の時代から、あの契約の時代に移行して、民間会社が参入して、で、契約に基づいたサービスを提供するっていう形で、市場がもう10兆円、15兆円にもなってきてるんで、それの流れを削ぐことにならないか?
せっかく、これまで積み重ねてきたものですからね。
措置の時代に一部、逆戻りしてしまうんじゃないかっていう懸念がすごくあるんですよ。だからそこだけは避けたいし、民間イコール悪徳とか、金儲けとか悪者っていう風潮はできれば避けたいし、悪いものは悪い、いいものはいいっていうのをしっかり見極めながらやっていかないと。
だから「囲い込み」って言葉も私は嫌いなんです。高齢者住宅を提供して、外付けでいろんなサービス提供するっていうのが、「囲い込み」っていう悪いレッテルを貼られること自体がおかしなことだなと思いながら、議論を見ています。
介護業界で本気で頑張ってくれる事業者ってあまり増えていないじゃないですか。なかなか儲からないジャンルでもあるから。そこをさらに儲からない状態に追い立てていったら、誰もやらなくなるんじゃないかっていう不安を感じますよね。
介護保険制度の改定ペースへの提言と今後に向けたアイデア
今、介護保険の改定が3年に1回あります。でも、3年に1回ちょっとだけ報酬が増えたとしても、物価は上がるわ、電気代は上がるわってなったら、その3年に1回の改定で間に合わないっていうのも、最近言われるようになったんですけど、なんであんなにゆっくり改定するんですかね。
確かに、そうですよね。
1回決めたらいいと思うんですよ、介護の報酬。「このサービスは○○円です」と。
そして現状、地域ごとに区分があり、加算するための係数が決められているじゃないですか。それを地域だけに留めず、その時のいろんな物価指数などさまざまな指数をもとに計算して、「本来、このサービスは1万円分なんだけど、1万一千円、1.1倍は今月、払います」っていう感じで、柔軟に支出ができれば、事業者としては経営を維持しやすいと思うんですよ。
日本の場合は30年間、経済的な部分での成長が止まっていたじゃないですか。それがコロナ禍を経て、急激な物価高、金利高、それに給料が追いついてないっていう状態。
もう急激な変化すぎて、海外見るとなんとかもうそれに乗ってきてるけど、日本は全然そこに追いついてないですよね。その歪みが出てるっていうことなんでしょうけどね。
「ケアマネ不足問題」「シャドウワーク問題」を解決するには?
「稼げないから」という一点だけが理由ではないと思うんですけど、ケアマネジャーのなり手がなかなかいない。
介護の現場で働く人も足りないんだけど、家族と話し合いをして、ケアプラン、つまり「これからどういう介護をやるの」「いくらぐらいでサービスを利用するの」という監督役をやってくれるケアマネジャーも集まらなくなってきている。ここはどうやったら解決していくのか、何が問題なのか。
国際的に見て、ケアマネジャーっていう資格、仕事は、制度は珍しいんですよ。ドイツも韓国もケアマネジャーっていう制度は使ってないんで。いないんです。日本独自のもの。似た人たちはいるんですけど、ケースワーカーみたいな。似た人たちはいるんですけど、日本みたいに制度の中にケアマネジャーっていうのを組み込んでやってる国って珍しいんで。
私は日本のケアマネジャーはすごく評価できる仕組みだと思うんで、このやり方を踏襲するんだとしたら、やっぱりレベルアップはしていかないといけないと思うんですよ。レベルアップするには、ケアマネジャーの仕事も整理するべきだと思うんですよね。いわゆるシャドウワークの仕事をどこまでも、やっていいとも思わないんで。
私なりに、ケアマネの本来業務とシャドウワークについて、図にまとめてみたんですが、このシャドウワークを誰が担うべきなのか、考えなきゃいけない。

あと「仕事と介護の両立」とか、ビジネスケアラーの問題にもつながってきますけど。企業の相談窓口で、今、介護相談とか、親の介護の問題とか、老人ホーム探しとか。徐々に大企業こそ、窓口を作らなきゃいけないって法律にどんどんなってきています。
「産業ケアマネ」も増えつつありますね。
そう。「産業医」ならぬ「産業ケアマネ」。ある程度の企業なら産業医がいるじゃないですか。それと同じように産業ケアマネがいて、介護相談を受けるっていう、そこで収入を得るっていうのは、もう全然、国費でも保険料でもなんでもないんで。
「仕事と介護の両立」支援っていうことができるケアマネが増えることはとてもいいでしょうね。
うん、もっとそこは社会的な注目を集めてもいいのかなって思いますね。
私はいろんな会社でセミナーをやらせてもらったり、介護相談の対応をしてるんですが、会社ごとに結構、両立支援制度が違うんですよね。「国が定めているものがあるけど、うちの会社は、もうちょっと柔軟な対応ができます」ってところがある。
それをちゃんと産業ケアマネが把握して、各企業の従業員に合ったプランを提案する。プランといっても、介護サービスのプランだけじゃなくて、両立するために介護休業をいつ使うのが賢いのか、介護休暇はどんな使い方が良いのかとか、そのアドバイスをちゃんとしてくれる人がいたら、介護離職する人がだいぶ減りそうな気がします。
産業ケアマネに関しては、今、就業してないケアマネにぜひとも関わってもらいたいって思いが強いですね。
で、今、介護業界に関わってもらってるケアマネに関しては、シャドウワークと本業のその整理を、業界の中できちんとして、本当にケアマネじゃなきゃできない仕事に専念してもらうっていうことが重要だと思います。
本来の仕事じゃないシャドーワークについて、多くのケアマネジャーがやらざるをえない状況に置かれている。要はそれだけニーズがあるわけですね。そこを介護事業者などケアマネジャーが働いている会社が有料で請け負う、みたいな仕組みって作れないんですかね。
作れるんじゃないですか。
「病院、連れて行きますよ。お金かかるけど」ってやれば。
ちゃんと料金体系を作って、利用するもしないのも利用者の自由っていう形で明確にすればいい。
ケアマネが所属している会社ごとに料金を勝手に決めていくというよりは、国単位で議論する時に「ケアマネの本来業務は○○。××はシャドウワークだ」決めるべきじゃないか。ニーズがあるんだから、全額自己負担で利用できる標準メニューを作ってほしい。地域差はあるとしても、相場についてのガイドラインがあったら、利用する側も費用の計算がしやすくなる。
できることはサービス体系化、料金体系化して提示して利用してもらう。まあ、そのための人員をどうするかっていうのはね、別の次元で考えなきゃいけないけど。
いわゆるシャドーワークを無料で、ケアマネジャーが抱え込むっていうのはあまりに不健全だと思うんですよね。
今回は本当にいろいろ興味深い話を伺うことができて、勉強になりました。いろんな角度で見識を深めることができて、とても感謝しております。今回は本当にありがとうございました。



