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2026.10.20

緊急対談「2027年制度改正に向けた展望と考察」第1部

緊急対談「2027年制度改正に向けた展望と考察」第1部のイメージ

2026年10月16日、高齢者住宅新聞社の代表取締役の網谷敏数さんと介護アドバイザー・横井孝治が対談を行いました。そのなかでも早めにお伝えしたい内容の動画を最小限の加工で公開することになったんですが、話が白熱しすぎたためか、撮影機材が熱暴走してしまい、冒頭以外は音声のみ記録されていました。

そこで緊急対応として、冒頭を動画で公開(近日公開予定)。本テーマの対談全文を、テキストで公開します。

「特定地域サービス」によって、全国一律の介護保険制度が変わる

今回はスペシャルゲストとして高齢者住宅新聞社の代表取締役である網谷敏数さんに詳しくお話を伺っていきたいと思います。2027年の4月に向けて法改正であったり、様々な制度の見直しの議論が進んでいるタイミングということなんですが、今どんなことを率直に考えておられるのか。これからどんなふうに動いていくのか、どんな見立てを持っておられるのか、そのあたりを伺っていきたいと思います。

次回の改定が来年の4月に迫っているという状況で、特にこの一年は、来年の4月の改定に向けて、様々な議論が行われています。法律も複数またがってるんですよ。いくつか言うと、介護保険法はもちろんなんですけど、社会福祉法、老人福祉法、障害者総合支援法、子育て支援とか生活困窮者とかに関係するような法律までまとめて変わろうとしている。

「束ね法案」とか言われて、国会で審議されて、衆議院、参議院で議論されて。で、今、議論の場が社会保障審議会の「介護給付費分科会」および「介護保険部会」っていうところに移ってるんですけど、業界の人間はみんな注目をしてるという状況です。

特に注目されているところ、ポイントですね。事業者として重要なポイント、あるいは利用者側、家族側として重要なポイント、いろいろとあると思うんですが、それぞれの立ち位置で教えていただけないでしょうか。

根っこの部分で「人材不足」とか「財源不足」っていう問題がある。「都市と地方」の問題っていうのがすごく顕在化してきてて。

介護保険って一律の報酬だったんです。サービスごとに。北海道や沖縄といった地方でも、都市部でも、一律の報酬っていうのが基本だった。

基本報酬は一緒ですよね。そこに若干の係数がかかる部分はあっても。

加算っていうのがあるですけど。地方都市で人口減少地域に関して言うと、そこでやってる施設に関しては、人員配置基準の緩和とか、報酬体系も、出来高だったものを今度は包括で行うようにするとかいう形になる議論がなされています。

大きなポイントとして「特定地域サービス」っていう名称がつけられて、人口減少で若者が少ない、これからも高齢者がピークになっているので、高齢者も少なくなってくるっていう地域が中心になるんですけど、そういうところのサービス体系が変わる。人員配置体系が変わるっていうのが大きなポイントの一つですね。

利用する側からすると、自分の親が暮らしているところが、その特定地域になるかどうかって、結構な分かれ道なんですね。

「人口減少地域」って言っても、どのぐらい人口減少しているところが対象になるのかを、これから年末にかけて決めていくという状況です。

日本全体で見たら、いわゆる大都市でも人口減少しているところ、いっぱいあるわけですからね。

そうなんですよ。ただ、今のところ議論でいくと、相当な数の市町村が対象になるんじゃないか。日本全体の1/10なのか1/5なのか、これはまだわからないんですけど、相当な数の市町村が対象になって、新体系でサービスが提供されるような形になるんじゃないかと。

少ない担い手でも、どうにかそのサービスが維持できるようにしていくということなんですね。

特定地域では、いわゆる介護を提供する資源。人材も含めて資源が少ないので、自費のサービスも推奨されるような形になるんでしょうね。これでピンとくる方も多いと思うんですけど、何年か前からか、「総合事業」というのが進んでいるじゃないですか。

要するに、総合事業化がその地方都市、人口減少地域で進んでいくということでしょうね。介護保険のサービスでカバーしきれないと。そこはいわゆる措置的な形で市町村が裁量を取る形で自費のサービスを市町村中心もしくはNPO民間事業者が自費でサービスを提供するっていうことも、盛り込まれそうなんで。そういう議論が行われています。

公式の発表としては「関係ないんだよ」っていう言い方になってますけど、生活援助する部分について、「国家資格を新たに設けて、家事のサポートをやります」といったものを作ろうとしてるじゃないですか、まさに。それもそちら側に組み込まれているって見立てはどうなんでしょうか。

本当に深読みすると、いわゆる介護保険、医療保険というのはフォーマルなサービスなんで、皆保険制度で成り立っている。人員の問題、財源の問題を考えると、それでカバーしきれなくなってきてるんで、インフォーマルサービスもある程度取り入れていこうというところ。

総合事業もその考えの一環ですけど、じゃあそのインフォーマルサービス、保険外サービスをどう普及させていくのか、浸透させていくのかっていうことの一つの手段として、いわゆる国家資格的なものを設けて、担い手を増やしていこうということかと。

ある程度の質の担保もできるし、利用する側の安心感もありますよね。国家資格ということで。

フォーマルがもういっぱいいっぱいなんで、自費に逃げて、自費をやるための材料として、その国家資格化を図って、そこに誘導していこうっていう、まあ戦略じゃないか、策略じゃないかって。まあ、悪意を持った見方もできなくもない。

介護業界の人材不足問題への解決策について、どんな議論が進んでいるの?

「働く人が足らない」「人材が足らない」っていうのは長年言われてますよね。国としては介護の人材何年まで何人ぐらい増やさなきゃいけないみたいな目標数字も掲げてるけど、容易にそれがクリアできる状況はない。

まさに今そうしたことも議論されているというふうに聞いてるんですが、解決策として例えば外国の人材をもっともっと増やしていくというのもこれから先の未来としては十分ある話なんでしょうか。

人口減少社会っていうのは、もうここ何十年、50年、60年というのはもう見えてきてます。だから、そういう環境でどう介護サービスを提供していくのかっていうことになりますけど、一つの手立ては外国人の方を受け入れていくと。特定技能などの制度があるので、それを活用していくということと、もう一つ、高齢者のやっぱり就業が増えてきているので、生産年齢人口はもう何千万単位でこれ減ってきますけど、高齢者も含めた就業人口っていうのは増えてるんですよね。75歳以上の方の労働比率も高まってきているので、働ける方にはもう是非とも働いていただいて、社会貢献も地域貢献も含めて知っていただくっていうのがベストかなと。もう一つはテクノロジーですよね。

言い方はあれですけど、家庭の中に限らない「老々介護」が増えていくということなんでしょうか。元気なシニアの方が弱った方をサポートしていく。

「老々介護」っていう言葉も似つかわしくないっていうか、ふさわしくないっていうか。

本当にもう時代も変わって、私も後期高齢者の方といろいろお付き合いしてますけど、もうこちらよりも元気な後期高齢者の方いますね。そういう方に「無理やり働け」というわけじゃありません。社会との接点を持って、いろいろ元気にもっとずっと過ごしてもらいたいっていうところですよね。

そうですね。それ自体は本当に素晴らしいことだと思います。

高齢者の労働人口が増えてるっていうのは、統計上でもう現れてきてるし、この人材不足の中で貢献度合いって大きいと思うんですよね。

あとは外国人の方。

介護の資格について勉強するスクールとかで、外国人の割合が半分超えてるって話ありますもんね。で、それでもそれ含めても定員の64%ぐらいしか人が集まってないと最近聞きました。

最近の日経でしたっけ。飲食の業界の特定技能の枠が上限に達してきてて、取り合いになってるっていう。12万人でしたっけ。何年後かには上限に達するって。

だから上限引き上げっていうのを、介護業界も真剣に考えないと。外国人が増えることが良いことか悪いことかっていう議論はあるけど、現状のままではサービスが提供できないというのも事実。

犯罪を起こすような移民や、日本の文化や風習を尊重してくれない移民は入れちゃダメなんだけど、正しい手順を踏んでやってきた人は受け入れていいんじゃないかと思ってます。

専門家が提言! 財源問題から逃げずに受けとめることが重要

外国人の人材に関して今お話を伺ったんですけども、それ以外注目している視点とかポイントですね。今どんな議論が進んでいて、どこを、多くの人が知っておくべきなのか、そこを伺いたいと思うんですが。

財源って、皆さんも何となくわかってると思うんですけど、負担があっての財源であり、給付っていうことを今一度考え直してもらってもいいのかなと。

要は最近のこの政治情勢もそうですけど、消費税の議論、減税の議論がなされてますし、多くの党で保険料を下げていくと、これ若者の保険料を下げていくっていうことであれば、それはそれで納得できるんですけど、全体的な保険料を下げていくことが議論されてるんですけど、それって給付を増やすっていうことからは逆行してるんですよね。

確かに、そうですね。

同じような人が「給料を上げろ」って言ってるんですよ。これって矛盾した話で、給付が増えなかったら処遇も高められないんで、ある程度の負担をしてもらった上で、給付が成り立つ、処遇改善が成り立つっていうことをやっぱり理解してもらわないと。

で、今、2割負担、3割負担っていう議論にもなってますけど。負担する能力がある方は2割負担、3割負担に移行してもらいながら介護保険、医療保険を守っていくっていう考え方は大事だと思うので、ここはね、今一度やっぱり改めて給付と負担のバランスで社会保障は、医療保険、介護保険は成り立ってるんだってことを、ええ、噛み締めていただきたいなとは思いますね。

「頭ではわかるけど、気持ちではイヤだ」っていうのが結構、本音じゃないですかね。「もらうのはたくさん欲しいけど、払うのは少しがいい」っていうのは、多くの人が思うことかなって気がします

あと現在は、1割負担、2割負担、3割負担だけど、15% 負担とか25%負担とか……。

段階をもうちょっと緩やかにする感じですね。

あと、これも政治家は多分言いにくいと思うんですけど、今は40歳以上が介護保険料を負担することになっているじゃないですか。それをもう20歳まで下げていく。

まあ、介護保険やってる全世界の国って少ないですけど、ドイツも韓国ももう20歳以上からなんで、社会全体で支えるっていうことになってるんで。

医療保険と同じスタートにする、と。

日本はもう40歳以上って決まって、それでやってきてるんで、経済界の反対とかもあるでしょうね。また、サラリーマン世帯とか中所得世帯の負担感が、増えてしまう可能性もある。

でも「全世代型社会保障」、つまり全世代で社会を支えるという考えからすれば、20歳から保険料を拠出して、介護保険、医療保険を支えるっていうのはありなんだと思います。

ほかの業界、介護業界が他の業界と違うなって思うところがあって……。私の感覚的なことを言うと、介護って広い意味ではサービス業の一種だと思ってるんですが、ほかとは違いがある。普通なら良いサービスを提供して、お客さんに愛される店とか会社はたくさん稼げるし、そこで働いている人の給料も上がるじゃないですか。介護ってなかなかそうならないんですよね。

公定価格でやってるから。

その公定価格自体を「評価が高いものにはより手厚く払います」って変えたら、みんな頑張って評価を上げないですかね。アウトカムで要介護度を下げるとか、そういったところだけじゃなくて、いかに利用者たちの満足度が高いかみたいなものをもっと賢く指標分析できないのかなと。今こそ AI が進化してきているので、働いている人、あるいは暮らしている人の、幸福度で測るとかね。

そうしたもので「頑張ったら稼げる」って業種になって、いい人を集めて、もっと知恵を出してっていう良い循環に入ってくれないかなって思っちゃうんですけど。

それも半年一年で議論できることじゃないと思うんで、今の緊急どうにもならないところだけは国債ちょっと多く出させてくださいと。で、そこで3年ぐらい時間を稼いで、その間に必死で新たな制度を作りませんかと思うんですよね。

第2部へ続きます。
>緊急対談「2027年制度改正に向けた展望と考察」第2部

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