介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第210回 イズさんと脳トレ本(2007年3月14日)

昨日、イズさんのホームへ行きました。
今回は色々用があって、勇んで行きました。
イズさんに見せて一緒にやろうと思っていた脳トレ系の本を持って行きました。
私がいなくても、ボチボチやってもらおうと、イズさんのところに置いておくつもりでした。
でも、すごすご持ち帰ってきました(哀)
先日、本屋で見つけたNHK「ためしてガッテン」の「元気脳ドリル」というムック本でした。

認知症じゃないイズさんですが、今は元気ですし、何か目的意識を持って生活してもらいたいと、用意してみました。
小学生の夏休みドリルみたいに見開き両ページが一日分で、6週間かかって仕上げる本です。
毎日10分程度でできる本で、続けてすることに効果があるものです。
書かなきゃならないから、書くこと嫌いだから無理だろーな。
毎日なんてやるわけないな。
この本の文字が小さくて読めないだろーな。
メガネかけてわざわざ読もうとする気もないもんね。
小学1年生程度の計算があるけど、しないだろーな。
暗記もあるけど、しないな。
でも、私は念のために、イズさんがラクに書き込みできるように、本のページを拡大コピーして、書きやすいようにして持って行ったのです。

この本は、「今日の食事」や「着ている服」を毎日書く欄があります。
イズさんが書くわけないので、私が聞いて本の中に書き込みました。
「今日の朝食覚えてる?」
「そんなの忘れちゃったよ」
「お昼は何を食べたの?一つだけでもいいから」
「そんなのたくさん出るから覚えてないよ」
全く思い出す気もないし、馬鹿馬鹿しいと思っている様子。
「今日着ている服はなあに??このスボンの色は?」
「う~ん、ねずみ色かな??」
「どんなズボン??履き心地は?」
「????」
では、気分を変えて…。
この本に載っている「じゃんけん」を一緒にしてみようと誘いました。
「じゃんけんは、頭の働きと手先の動きにいいのよ~」と言いましたが、「そんなの」と鼻で笑って、全く相手にされませんでした。
「私と一緒にしてみようよ!ほら、グー・チョキ・パー!!」と誘ってやってみせても、馬鹿げてるという感じで、せせら笑い。
じゃんけんぐらいするかと思っていた私が甘かった…(哀)
タクさんなら、私と楽しくやったのに…。
「これ、私がやってもいいな~と思って買ったんだけど、一緒にやってみない??」と切り出して、本に書き入れることややり方を説明しました。
初めはイズさん、少し興味があるようでしたが…ダメでした。

「人に何々しろと言われてするのは嫌なんだ!と前から言ってるでしょ!!」
「いつまでにやらなきゃいけないなんて、決まってるのはしたくない!!」
「ただ置いてあれば、気が向いたときするからいいけど…」
「えすえさんだって、わかっているでしょ?!」
挙句に「認知症の研究は自分でしているからいい!!ってこの前言ったでしょ!!」
「そんなに長く生きてないからいいの!!」
そして、その後延々と思考回路が絡まって、眉は吊りあがるし、息巻くし…。
ある程度話を聞いて、私も話して、私もムカ・ムカ・ムカ…×△◆%#◇×▼×
「あ!!大変!!施設長さんに用事があった!ちょっと行ってくる。10分位したら戻って来るからね」
そう言って、その場を離れました…ふぅ~(溜息)
こういう時には離れるに限る~。
タクさんの場合もそうでした。
その間、大急ぎでイズさんの部屋の片付け。(食堂で話していたのです)
この脳トレ本は、結局私が自分ですることにしました。
この本の対象年齢層は、最初から50~60歳代とみたのですが、それでもイズさんに一抹の希望を抱いた私が甘かったようです。
お年寄りにとって、こういった本は、よっぽど前向きな人以外は難しそうです。
すっかりイズさんの機嫌を損ねてしまいました。

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